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第三章

シスコン全開リリン

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 進化したというフレイに抱きついて、リリンは涙を流していた。
 その様子にフレイも若干困っている。

「お、お姉さま……そんなに泣くほどかな?」

「うぅ~、だって私の可愛い…可愛いフレイが進化したのよ!?姉としてこんなに喜ばしいことないわ!!」

「う~ん……。」

 それからリリンが落ち着くまで、しばらく時間がかかった。そして落ち着きを取り戻したリリンは、フレイを改めて祝福する。

「改めておめでとうフレイ。」

「えへへ、ヒイラギさんのおかげだよ。」

「えぇ、私からもお礼を言わせてもらうわ。ありがとうヒイラギ。」

「俺はただ血をあげただけなんだが……。」

「それよ!!それが私達吸血鬼には大事なの!!」

 興奮しながらリリンは言った。

「ちなみに、進化して何か変わったのか?今のフレイはさっきと変わっていないような気がするんだが……。」

「ふふん、見る目がないわねヒイラギ。私達みたいな高位の吸血鬼が進化する……それはすなわちなのよ!!今のフレイは太陽という弱点を取り除かれた、完全体の吸血鬼っ!!」

「なるほどな。」

 すると、フレイは陽の射す窓際におもむろに立った。

「ほらね?もう太陽に照らされても大丈夫だよ。」

 太陽の光を受けながら、ニコリと可憐な笑みを浮かべたフレイ。

 そんな彼女を見て、俺の隣でリリンが鼻血を吹いて倒れた。

「ふ、ふへへ……か、可愛すぎるわ。流石は私の妹……。」

 まるで辞世の句のように言い残し、リリンは満足そうに目を閉じた。

「お~い!?ら、ライラーッ!!早く来てくれ!!」

 ライラのことを呼ぶと、すぐさま彼女はこの部屋に駆けつけた。

「お、お嬢様!?い、いったいなにがあった!!」

「い、いや……フレイの笑顔を見たら鼻血を吹いて倒れたんだ。」

 そう説明すると、ライラはスン……と落ち着きを取り戻す。

「そうか、了解した。」

 そしてライラは、幸せそうな表情で未だ鼻血を吹き出し続けているリリンを抱きかかえると、どこかへと消えていった。

「あはは……お姉さまって時々アレやるんだよ。」

「フレイを見て鼻血をだすのか?」

「うん、新しいお洋服とか……着てみた時にやってるね。」

「……………。」

 フレイの事が好き過ぎるのが原因かな……。こう、大声では言えないが、リリンはなかなかのだからな。

 リリンが去った部屋の中で、フレイと顔を見合わせて思わず苦笑いするのだった。
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