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第三章
ドーナとランの成長
しおりを挟む視界が一瞬光で覆われると次の瞬間には、ドーナ達の前に移動していた。彼女たちはこちらを見つけると、少し驚いたような表情を浮かべた。
「あ!!こっちは……うん本物のヒイラギね。」
二人はこちらに駆け寄ってくると、俺の肌を触って感触を確かめたり、匂いを嗅いだりしてきた。
「な、なんだ?二人ともどうしたんだ?」
「いろいろあったのよ~こっちも……ねっ?ドーナ?」
「あぁ、本当にこの感触……匂い……。はぁ~、恋しかったよ。」
しばらく二人に俺という存在を堪能される。触られる程度なら一向にかまわないが、流石に匂いを間近で嗅がれるのは少し恥ずかしい。
そしてやっと解放されると、二人の背後にカオスドラゴンが二頭横たわっているのが目についた。
「二人ともカオスドラゴンを倒せたんだな。」
「えぇ、最初はどうなることかと思ったけど……ぶっ倒してやったわ!!」
「最後には一人で一頭倒せるようになったよ。」
とんでもない成長速度だ。こんなに強くなったのなら…いよいよ俺が心配することはないな。下手したらこれから先……追い越されてしまう可能性だってある。
「二人ともよっぽど自信がついたみたいだな。」
「これもヒイラギのおかげよ?」
「俺の?」
どういうことかわからずに首をかしげていると、カオスドラゴンの真横に一人よく見慣れた人間が立っていることに気が付く。
「ん?んんっ!?あれって……俺か!?」
「そうだよ、カオスドラゴンを倒す前のヒイラギをイリスが再現してくれたのさ。」
「そういうことだったのか。」
近くに行って良く見てみると、かなり忠実に再現されているのがわかる。
「ってことは、二人は俺の戦い方を学んでカオスドラゴンを倒したってことなのか。」
「そうよ~おかげで、すっかりヒイラギの武術が体に染みついたわ。」
二人は俺の前でいろいろな型をとって見せてくれた。詳しく教えられたわけではない、俺の戦い方を見て学んだだけで、ここまでできるようになっているとは……。
本当に二人には驚かされてばかりだ。
「さ、向こうの世界だとちょうど朝になっているらしいから、そろそろ戻ろう。お互い目標は達成できたからな。イリス、お願いできるか?」
「お任せください。」
パンパンとイリスが手を叩くと、また視界が一瞬光に覆われる。そして今度眼を開けると、俺たちの部屋に戻ってきていた。
「シア達はまだ寝てるな。ドーナたちも休んでていいぞ。」
「は~い、ありがとヒイラギ~。」
「その言葉に甘えて休ませてもらうよ。」
頑張った二人を休ませて、俺は朝食を作るために部屋を出るのだった。
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