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第三章
お鍋の支度
しおりを挟む風呂に入って体についていた汚れを落とした後、レイラと共にいつもハウスキットを使う広場へ向かっていた。
「ッくしゅん!!……失礼致しました。」
少し変わったところといえば、レイラが先程からくしゃみが止まらない様子だ。
ホコリか何か鼻に入ったのかな?
「大丈夫か?さっきからずいぶんくしゃみをしているが……。」
「問題ございません……くしゅん!!」
レイラはキリッとした表情で答えたが、その三秒後には再びくしゃみをしていた。
そんな調子でも、レイラはきっちりと俺をいつもの広場へ案内し終えた。
「それじゃあまた作ってくるから……。」
「くっしゅん!!‥かしこまりました。」
ハウスキットを広場で展開すると、早速中へと入った。電気を点けて更衣室に向かい、コックコートに着替えて厨房へ向かう。
昨日と同じく既に電気が点いている所を見るにイリスがいるのだろう。
「今日は何を作るんですかっ♪」
厨房へ入ると、やはり既にコックコートに着替えを済ませたイリスがいた。
「今日は鍋を作るぞ」
「なべ……ですか?」
「見てればわかるよ。」
戸棚から宴会用の大きな土鍋を出して、イリスに見せた。
「これに野菜とか魚とか色んな具材を入れて、煮込んだ料理を総称して鍋っていうんだ。」
「なるほど~、ということは今からその具材の準備をするんですね?」
「そういうことだ。今回イリスにはたくさん野菜を切ってもらう予定だが、大丈夫か?」
「大丈夫です、最近ようやく慣れてきたんですよ?」
頼もしい限りだな。
「それじゃ一回全部切って見せるから、同じように切ってくれ。」
まずは白菜……のような葉野菜。一枚一枚剥がして水で洗ってぶつ切りにする。
無農薬の白菜なんかは、アブラムシがついていたり青虫がいたりするからよく洗った方がいい。
この世界にあいつらがいるかはわからないが……。
次は白ネギ、根を落として斜め切り。えのきのようなキノコは下を落としてパラパラとほぐす。
人参は皮を剥いて斜めに切る。飾り切りをしてもいいが、まだイリスにはハードルが高いだろう。
バットに切った見本を並べて、あとはイリスに任せよう。
「よっと、こんな感じだができそうか?」
「大丈夫です、任せてください。」
「わからなくなったら聞いてくれ、俺は隣で魚を捌いてるから。」
さて、例のアンゴロウ……だったかアイツを捌くとしよう。
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