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第三章

ランとのデートを終えて

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 あの後、ジルとグリズと解体にかかるおおよその日数や、魔物肉専門店への寄贈部位について話し合った。

 グリズによるとどうやら解体に少なくとも3日は欲しいらしい。皮を剥いで肉だけにするのだけでもこの大きさと硬さであればかなり時間がかかってしまうらしい。

 そしてジルが営んでいる魔物肉専門店には、親サラマンダーの頭部と骨を寄贈する事にした。頭なんて食べないしな。

「それじゃあ、後は任せるよ。解体が終わったら王宮まで知らせてくれ。」

「かしこまりました。」

 ジル達に見送られ魔物肉専門店を後にした。3日後が楽しみだ。

「ふふっ♪ヒイラギ~顔がにやけてるわよ?」

 店を出て市場の通りを歩いていると、ランが俺の頬を指先でつつきながら言った。そんなに表情に出ていただろうか。

「サラマンダーの肉はどんな味なのか気になってな。楽しみで仕方ないんだ。」

「食材のことになると、ヒイラギは凄い楽しそうな顔するわよね?」

「料理人の性ってヤツだな。」

 こればっかりはどうしようもない。食べたことがない食材や、見たこともない食材を前にしてしまうと楽しくて仕方がないのだ。

「そういえば今日は?にするって言ってたけど、それってどんな料理なのかしら?」

「あ~、鍋っていう調理器具があってな。そこに色んな野菜や魚、肉とかを入れて味を付けた汁で煮込んだ料理だ。」

 いざ鍋ってどんな料理と聞かれると説明し辛いな。日本では鍋を知らない人なんてほとんど居なかったし。

「その具材のお魚が今日はあの不細工な顔したヤツなのね?」

「そういうことだ。」

 出汁の味はどうしようか…味噌ベースか醤油ベースか悩みどころだ。本当は肝はポン酢で食べたいところだが、湯通しして裏ごして味噌に混ぜても良いな。
 コクがでて美味しいだろう。

「なべって料理を想像したらお腹空いてきちゃったわ。」

 ランが自分のお腹を押さえて言った。

「そういえば今日昼ごはん食べてなかったからな。」

「ふふっ♪二人で景色に夢中になってたから、すっかり忘れてたわね。」

「そうと決まれば早く王宮に帰って夕飯の支度するか。」

「そうね♪」

 俺たちは夕飯の支度をするために王宮へと向かった。
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