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第三章
蛇竜サラマンダー
しおりを挟む扉をくぐり中へと入ると、先ほどいた部屋とは違い中は暗く少し暖かいことに気が付いた。
「空気が暖かいでしょう?」
「あぁ、なんでなんだ?」
「今からお見せする魔物の魔力が剥製になって尚、空間に影響を与えているのです。」
死んでも尚影響を及ぼす魔物か…きっととんでもないやつなんだろうな。
「今松明に灯をともしますね。」
壁にかけられている松明に火が灯ると、俺達の前に巨大な一匹のとぐろを巻いた蛇が現れた。
「こいつが…。」
「はい、蛇竜サラマンダーにございます。」
蛇竜サラマンダー…剥製なのに今にも襲い掛かって来そうな程、生命力に溢れている。赤い蛇鱗、蛇にはそぐわない大きな翼、どんなものでも貫きそうな凶悪な鋭い牙。
蛇竜サラマンダーの剝製の迫力に圧倒されていると…。
「このサラマンダーは10年前に討伐された個体です。」
「つまり10年前以降討伐されてないんだな?目撃例とかもないのか?」
「三年前に一度だけ目撃されております。その際討伐隊が組まれたのですが…出撃して帰ってきた者は一人もおりませんでした。」
一人も生還者がいなかったのか。やはり見た目通りの強さらしいな。
「そうか、ならその討伐隊の隊員達の意思は俺が引き継ごう。こいつが目撃されたという場所を教えてくれないか?」
「…怖くはないのですか?」
「そりゃあ今の話だけ聞けば怖いが、どちらかと言えば好奇心の方が勝ってるな。」
それに散った隊員達の無念を晴らしてやりたいと言う気持ちもある。いつまでも無念を晴らせないままでは、彼らも報われないだろうからな。
「ホホ…勇者様はやはり面白いお方ですな。それでは私がサラマンダーについて知っている情報をお話しいたしましょう。立ち話もなんですので、こちらへどうぞ。」
「助かる。」
彼にとある一室に案内されると、飲み物が提供された。それを飲んで一息つくと、正面に座った彼は自己紹介を始めた。
「申し遅れました、私この店の店主を務めておりますジルと申します。」
「俺はヒイラギ クレハだ。」
お互いに軽く自己紹介を済ませ、ジルがいよいよサラマンダーについて話し始めた。
「サラマンダーについてですが、生息地はここから東にある火山地帯です。今のところですがそこから移動したという情報はありませんのでほぼ間違いないかと。」
「火山地帯か…ずいぶん熱そうなところだな。」
「熱いのはもちろんのこと、山頂付近には有毒ガスが蔓延している場所もありますので、一歩間違えれば死の危険がある…かなり危険な場所です。」
有毒ガスか、さすがにそれはヤバイな。熱さ程度ならどうにかなるだろうが、毒ガスは対策が難しい。
「次にサラマンダー本体についてですが……。」
ジルの口からポツポツと、サラマンダーについて語られ始めた。
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