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第三章
魔鉄のロックリザード
しおりを挟むロックリザードを見送った後、少し登ると先程のロックリザードとは違う、何やら黒光りした鉱石を身に付けた個体を見つけた。
「あのロックリザードはなんか黒光りしてるな。」
「あれが鉄っぽいけどねぇ。」
確かに良く見ればいつも使ってる鉄製のフライパンと同じ色…にも見えるような気がする。まぁ何はともあれ今度は逃げられないようにしないとな。
背中を向けているロックリザードに気付かれないように背後に忍び寄ると、ごつごつとした背中に飛び乗った。
「グエェェェ!?」
ロックリザードは突然の事に驚いて首を大きく上に持ち上げた。俺はその瞬間に腕を首に回して、きつく締め上げた。
「グ…グゲゲッ!!」
苦しさのあまりジタバタと暴れるロックリザードから振り落とされないようにしがみつきながら、首を絞め続けた。
するとしだいに抵抗が弱々しくなり動かなくなった。
「ふぅ…。」
さて、後は背中の鉱石を鑑定してみよう。
「鑑定。」
・魔鉄
魔物の体内で不純物が取り除かれた純度の高い鉄。高純度の魔力を含んでいる。
魔鉄?普通の鉄じゃないのか、ドーナは何か知っているだろうか。
「ドーナ、魔鉄ってわかるか?」
「魔鉄?いや~生憎聞いたことないねぇ。あの店主に聞いてみればいいんじゃないかい?」
「ふむ、そうだな。」
ドーナもわからないならあの店主に聞いてみるしかないな。これも何かに使えるといいんだが…。
「こいつは、一応血抜きしておくか。」
マジックバッグの中から魔剣ならぬ魔包丁を取り出して、ロックリザードの首に大きな切れ込みを入れた。
すると、首にある太い血管を切ったため、ボトボトと音をたてて大量の血液が滴り落ちてくる。
「ヒイラギ何してるんだい?」
「あぁ、せっかくだから後でこいつを食べてみようと思ってな。血抜きしてるとこだ。」
背中の鉱石だけ取られて後は捨てるってなったら勿体ないしな。それに、こんなに硬い体皮に守られてるんだから、もしかすると中の肉は美味しいかも知れない。
「美味しいのかねぇ。」
「それは食べてみないとわからんな。」
血が滴り落ちて来なくなったのを確認して、ロックリザードをマジックバッグの中にしまった。
「よし、それじゃあ先に進もう。」
山はまだ中腹にも辿り着いていない。陽が暮れる前には帰りたいから、サクサク進もう。
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