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第三章
野菜のシチューを求めて
しおりを挟む「どうやら野菜のシチューが人気の店らしいな。」
「野菜のしちゅー?」
ドーナが、料理名を聞いてピンと来ていないあたり人間の間では馴染みのないものなのかもな。
「シチューっていうのは、野菜とかをクリーミーなソースで煮込んだ料理だ。前にパンの中に白いソースを入れて焼いたことがあったろ?あれと同じようなソースで煮るんだ。」
そう説明すると、大方理解できたようで彼女は一つ頷いた。
「美味しそうだし、食べてみるかい?」
「あぁ、そうしよう。」
獣人族の国で作られた野菜で作るシチュー……興味が湧かないわけがない。
しかし、それにしてもこの世界は不思議だ。なんというか、あってもおかしくないはずのものが無かったり、なんでこれがある!?ってものがあったり……。
まるで、完成した文明をごちゃ混ぜにして分割したような世界だ。
……流石に考えすぎか。
「よし、じゃあ俺達も並ぼうか。」
野菜のシチューを求める行列の最後尾に並んだ。お昼時ということもあって、どんどん列は長くなっていく。
まぁ、ゆっくり待つことにするか。ドーナと会話しながら、自分の番を待つことにした。
それから待つこと20分程で、やっと店の中に入ることができた。
するとすぐにこちらに店員が駆け寄ってくる。
「いらっしゃいませ!!お席ご案内しますね~。」
空いていた1つのテーブル席へと案内された。
「ご注文がお決まりになりましたら、近くの従業員にお声がけ下さい!!それではごゆっくりどうぞ、勇者様!!」
「あぁ、ありがとう。」
メニュー表を手に取り、ドーナと一緒に見れる位置に置いて中を開いた。
「当店名物たっぷり野菜のシチュー……って書いてあるねぇ~。」
メニュー表には大きく目的のシチューの名前が書かれている。
「店側もこれを売りにしているんだろうな、俺はこれを食べようと思うが、ドーナはどうする?」
「アタイもヒイラギと同じのにするよ。」
「そうか、じゃあ後は飲み物だな。」
パラパラとメニューを捲り、飲み物の欄を探した。ドリンクの欄には、いろいろな野菜や果物のジュースが記載してあった。
「野菜まで飲み物にしてるんだねぇ。」
「野菜ジュースって意外と美味しいんだぞ?まぁでも今回はこのアプルの絞り汁でいいかな。」
「アタイはこのオレンの絞り汁にするよ。」
注文が固まったところで、俺は近くを通りかかった店員に声をかけた。
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