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第三章
ボリング対決
しおりを挟む指定されたレーンに向かい、借りたボールを置いて取りあえず座った。
「意外とピンまで距離があるんだねぇ~、真っ直ぐ投げないと…横の溝に落ちるって感じか。なるほどねぇ。」
「そうだな。意外に難しそうだ」
意外と溝と溝の間が狭い。しっかりと真っ直ぐ投げないと溝に吸われるな。
「よし、それじゃあ久しぶりに一勝負するか?」
「これでかい?」
「あぁ。」
「それなら、負けた方は勝った方の言うことを一つ聞いてもらう…ってのはどうだい?」
なかなかリスキーだな。まぁまぁ、負けなければいいか。
「わかった。それでいいぞ。」
「よしっ!!そうと決まれば負けないよぉ~?アタイから投げていいかい?」
「あぁ、構わない。」
そしてドーナは、周りの人の見よう見まねでボールを構えると豪快に投げた。すると、パコーン!!という快音と共にピンが全て倒れた。
文句なしのストライクだ。
「よし!!意外と簡単っ。」
「お、おめでとう。」
一発目からストライクとは……これもドーナの才能がなす業なのだろうか。
「さぁっ、次はヒイラギの番だよ。」
「あぁ、頑張ってみよう。」
俺も真っすぐボールが転がるように投げてみるが……。
「あっ……。」
変な力が入ってしまったようで、左の溝にボールが吸われていった。ま、まぁこんな時のために二回投げられるようになっているんだろう。
次だ、次で決めればいい。
そして再びボールを構えて投げると、今度は変な回転がかかりピンの一番端の一つだけを倒した。掲示板に表示されたスコアは1だ。
そんな俺を見てドーナはクスクスと笑っていた。
「ぷっくく…力みすぎなんじゃないのかい?」
「ま、まぁ次だ……次、全部倒すよ。」
しかしそこからはドーナの独壇場だった。一つ投げてはストライク……ボールがピンに自ら当たりに行っているようにも見えてしまうようだった。
対して俺はボールが何故かピンを避けていく。最初は真っ直ぐ転がっているにも関わらず、ピンの近くになるとグイッと溝に吸い寄せられるのだ。
「フフン、どうやら今回はアタイの勝ちみたいだねぇ~。ヒイラギ?」
「くっ、なんでだっ!!」
半ば自棄になり、力任せにブン!!とボールを放り投げた。するとたまたまど真ん中を射抜き、初めてのストライクを取ることができた。
「おっ、いいねぇ~。」
「決まると気持ちいいな。」
パコーン!!という快音と共に、ピンが全て倒れるのはなかなか爽快で気持ちがいい。勝負には大差で負けてしまったが、楽しかったな。
さて、だいぶ遊んだしそろそろ違うところでも行くか。
「さて、何をしてもらおうかねぇ~……。」
勝負に勝ち、すっかり気分がよくなった様子のドーナ。楽しんでくれているのは何よりだが……この後何をお願いされるのか、俺は不安で仕方がない。
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