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第三章
獣人族の国民的スポーツ
しおりを挟むズルズルとドーナに引きずられながら、子供達が走っていった方向へ進んでいくと……。
「ここ~!!着いたよ!!」
案内された場所は何かの施設のようだ。中からはガタン…ガタン…と不思議な音がする。
「ここはどんな場所なんだい?」
「んーとね、ボールを投げて遊ぶ場所!!」
「ボールを投げて遊ぶ?」
ドーナはいまいちわかっていない様子だが、まぁ入ってみれば分かるだろう。
「そっか、ありがとう。さっそく遊んでみるよ。」
お礼に俺が獣人の子供の頭をポンポンと撫でていると、背筋にゾクゾクっと寒気が走った。
「うっ!?な、なんだ今の寒気は……。」
キョロキョロと周りを見てみると物陰からシアがこちらをジッ…と見ていたのに気が付いた。後でちゃんと構ってあげないと、恐ろしいことになりそうな予感がする。
「どうかしたのかい?」
「あ、いやなんでもない。中へ入ってみようか。」
シア達がついてきている事をドーナに気取られない為にさっさと中へ入った。中へ入ると受付があり、奥でボールを投げている人が見える。
「これは人間の勇者様。ようこそいらっしゃいました。」
受付にいた熊の獣人がこちらに気が付いて話しかけてきた。さっそくここについて聞いてみようか。
「奥でボールを投げているのが見えるんだが、ここはどんな場所なんだ?」
「ここは私達獣人族の国民的スポーツ、ボリングの施設になっております。」
「ボリング?」
「はい、簡単に説明致しますと…このくらいの大きさのボールを投げて全部で10本あるピンを倒すスポーツです。」
おう、完全にボウリングだな。日本ではボウリングなんてやったことなかったからな。ボウリング初体験は、こちらの世界で経験することになりそうだ。
「どうするドーナ、やってみるか?」
「なかなか面白そうだしねぇ、いっちょやってみるかい!!」
「それじゃあ二人でお願いするよ。」
「かしこまりました。ゲーム数を指定してその数だけボールを投げるプランと、無制限のにお遊びいただけるプランがございますが、どちらに致しますか?」
せっかくだし長く楽しみたいよな…。
「無制限で頼む。」
「かしこまりました。」
そして俺達は受付でボールを借りて指定された場所へと向かった。さてさて、ドーナと一勝負するか。
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