転生料理人の異世界探求記(旧 転生料理人の異世界グルメ旅)

しゃむしぇる

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第三章

敗北は成長の糧

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 状況を理解できていないシンの横に落ちていた短剣を拾うと、俺は彼に向かって言った。

「今回も俺の勝ちだな。」

「むっ…むむむ、まさか我は嵌められたのか?」

「さっきのお返しだ。わざとあの技を空へと流した後、体勢を崩したままにしてたんだ。」

 シンがすぐに距離を詰めてきてくれるようにな。後少し詰めてくるのが遅かったら見破られたかもしれないが……彼ほどの腕前ならその隙を見逃すはずないから、失敗するとも思ってなかった。

「むうぅぅ、我もまだまだ未熟ということか。」

「いや、逆だよ。さっきみたいなやつは熟練した達人ほど良く引っ掛かるんだ。」

 事実何回か師匠にわざと一瞬隙を作る罠を仕掛け成功している。まぁ何回か成功した後は一切通用しなくなったが……。

「そうか、いや勉強になったぞ。これを糧に我はまた強くなれそうだ。」

 敗北にめげずに敗北を糧にする。よく言われるこの言葉だが、実際に実行するのは難しい。だが、真の強者はこれを幾度も繰り返している。だから強くなるのだ。

「鍛練するのもいいが、王としての義務は忘れないようにな?」

「も、もちろんわかっておる。」

 俺の指摘にシンは目をそらし苦笑いしながらそう言った。絶対言うまで鍛練のことしか考えてなかっただろ…。

 シンと話しているとベルグがこちらに向かって走ってきた。

「シン様もういいんですか?」

「うむ、もう満足だ。」

 二人はそれだけ話すと、ベルグは兵士に再び号令をかけた。

「総員整列!!」

 その言葉と共に兵士達は俺達の前にすぐさま整列した。

「さてお前ら!!さっきのシン様達の戦いを見て、まだヒイラギに挑みたいっつう命知らずな野郎はいるか?」

 ベルグが兵士達に問いかけると誰の手も上がらなかった。

「じゃあ質問を変えよう。ヒイラギに戦い方を学びたいヤツはいるか?」

 ベルグのその言葉に兵士達は一斉に手をあげた。
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