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第三章
訓練所にて
しおりを挟む「ヒイラギ急な呼び立てですまなかった。」
「面倒かけてすまねぇ、感謝するぜ。」
「いや、ちょうど起きたところだったから大丈夫だ。」
ふとベルグの肩を見ると、先程部屋の窓をつついていた鳥が毛繕いしていた。
「その鳥はベルグの通信用の鳥なのか?」
「ん?あぁ、オレの部隊には広域通信魔法を使える魔法士がいないからな。いつもこいつに任せてるんだ。」
そう言いながらベルグは自身の肩にとまっている鳥の顎を爪の先でクリクリと撫でていた。
「可愛いだろ?」
ベルグはニッと笑顔でこちらを見てきた。
「あぁ、そうだな。」
そう相づちをうっていると、シンがそわそわとした様子で話しかけてきた。
「それで、ヒイラギよ。ここに来たということは我と戦ってくれるのだな!?」
「あ、あぁまぁ……そうだな。」
そのやり取りを見ていたベルグは兵士達に号令をかけた。
「お前ら!!一度手を止めろ!!」
その言葉を聞いた兵士達はすぐさま打ち合いを止めベルグに向かって気をつけの姿勢をとった。
「今からシン様と人間の勇者による模擬戦を行う!!その戦いを良くみて学べ!!」
「「「「「了解!!」」」」」
そして兵士達は脇に退き始め、中央に広いスペースができた。
「まったく、察しのいい部下たちだな?」
「うむ、良く教育されておる証拠だ。さぁて、では行こうぞヒイラギ。」
「あぁ、手加減してくれよ?」
「良く言う。」
シンと冗談を言い合いながらスペースの中央へ歩いていった。お互いに向き合うと、何種類か木製の武器をもった兵士が駆け寄ってきた。
「これって絶対使わないといけないか?」
「できれば公平にしたいので、使わないとしてもどれか一つだけ装備していただければ…。」
「わかった。」
用意された武器を一つ一つ手に取ってみた。まずは大剣…西洋のクレイモアに似た作りだな。重い…却下。次は槍…ベーシックなタイプの槍だ。取り回し難い、却下。
そして次々に武器を却下した末にたどり着いたものは…。
「これだったらいいかな。」
手に取ったのは木製の短剣だ。俺が使っている牛刀の包丁と同じぐらいの刃渡りで重さも似ている。これなら問題ない。
俺は右手に短剣を持ちシンに向き合った。
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