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第三章
フレイの食事
しおりを挟む「くあぁぁ~…今日は食べたし飲んだな。」
部屋に戻って椅子に腰掛け、背伸びをしながらそう呟いた。
「お兄さんの料理、今日もとっても美味しかったよ!!」
「うんうん、すっごく美味しい料理だったよ。お姉さまもボクも食べすぎちゃった。」
そうシアとフレイは口々に言った。喜んでくれたようで何よりだ。
するとベッドで何かがもぞもぞと蠢いているのに気が付いた。
(あ、そういえばすっかり忘れていた。)
「う~ん、もう食べられないっす~。う~ん……。」
「あっ、グレイスぐっすりだね~。」
シアが寝ているグレイスの顔をツンツンして遊んでいる。
「この子ワイバーン?ずいぶん小さいね。」
「あぁ、スキルで今は体を小さくしてるんだ。」
そんな会話をしながら一区切りついたところで、フレイは少しもじもじしながらあるお願いをしてきた。
「あ、あの……ヒイラギさん。今度はボクのご飯が欲しいんだけど……。」
「あぁ、わかった。」
上着を脱いで椅子の背もたれに胸を預ける。すると近づいてきたフレイの息遣いがダイレクトに肌に当たる。
「ご、ごめんね。今回はちゃんと加減するから。」
そしてフレイの食事が始まった。前回より少しリラックスできてはいるが、この血を吸われる感覚というのはなかなか慣れないものだ。
ふと視線を感じたので気配を探ってみると、扉の向こうにドーナとランがいるのがわかった。どうやらこちらを覗いているようだ。
本人達はバレていないと思っているらしいが、がっつりバレている。
あまり見ないでほしい。本当に恥ずかしいから……。
今回のフレイの食事はゆっくりと行われ、30分程吸血され続けた。満足したらしいフレイは肩から口を離すと、口元をハンカチで拭う。
「ヒイラギさんありがとう。大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だ。前みたいにがっつかれたわけじゃないから、そんなに負担はないよ。」
「あのときは本当にごめんね?久しぶり過ぎて歯止めが効かなかったんだ…。」
「あんまり過去のことを気にしすぎると身を壊すぞ?終わったことだ気にするんじゃない。」
「ヒイラギさんって本当に優しいよね。だからきっとみんな……。」
少し顔を赤くしているフレイと話しているうちに、扉の向こうの気配は消えていた。後で問い詰めてみようかな…面白い反応が見れそうだ。
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