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第三章
酒は飲んでも飲まれるべからず
しおりを挟む料理と酒を楽しみながら周りのテーブルを見てみると、いたるところでステーキの争奪戦が起きていた。いかにも草食っぽい獣人はサラダを大量に貪っている。
周りを見ているとシンが話しかけてきた。
「ヒイラギよ、盃が空ではないか。どれ我が注いでやろう。」
「あっ……。」
そして彼は俺の盃になみなみと芋酒を注いだ。彼の顔は既に酔いが回り始めているのか、赤く染まりつつある。
「さぁ、グイッと飲め!!」
「あ、あぁ…ありがとう。」
盃を受け取りグイッと飲み干した。芋酒が喉を通ると、カーッと熱くなる。
「ぷはッ……。」
「良い飲みっぷりだなヒイラギ、ほれもう一杯……遠慮はするな、酒はまだまだ用意してある。今日は酔い潰れるまで飲ませるぞ!!」
(じょ、冗談だろ!?)
そう思っている間にも、俺の盃は再び芋酒でいっぱいになっていた。流石にペースが速すぎるな。
「ま、まぁシン、こっちの肉も食べてみてくれ。また違った味が楽しめるぞ?」
「なんと!?どれ食ってみよう。」
よし、何とかシンの興味をそらすことに成功した。さて、今のうちに料理を楽しむとしよう。
ローストビーフとポテトフライを食べ、少しずつ芋酒を飲む。
その後料理と酒を楽しみながら宴会は続き、結局結構な量の芋酒を飲んでしまった。
「ひいらりぃ~……もっろ飲むろ~!!」
飲むペースをコントロールしていたから俺は全然平気だが……シンはもうべろんべろんだ。まともに呂律も回っていない。
そして意外にも今回はランとドーナは悪酔いしている様子はない。
しかし……。
「ちょっろ!!らいら!!もっとこりぇ飲むのぉ!!」
「リリン様…もうそろそろお止めになってください。お顔が真っ赤ですよ?」
意外にもリリンが潰れていた。ライラがこれ以上飲むのを必死に止めている。
「あはは、お姉さま呂律が回ってないや。」
苦笑いしながらフレイがリリンを見ていた。フレイはシアと同じくアプルの搾り汁を飲んでいたため酔っぱらってはいないようだ。
さて…シンも酔い潰れてしまったし、料理も全部平らげたから、そろそろお開きの時間かな。周りでも何人かテーブルに突っ伏している獣人が見受けられた。
そして気がつけばシンもいつの間にかテーブルに突っ伏し、イビキをかいている。
メイドさんが言うにはどうやら宴会の開催者が酔い潰れたら獣人族の宴会はお開きらしい。主催者であるシンがメイドさんに連れられて退室した後、ちらほらと獣人達が帰り始めた。
「じゃあ俺たちも一回部屋に戻ろうか。」
みんな満足した様子なので、一度各々の部屋に戻ることにした。
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