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第三章
危機は未だ去らず
しおりを挟む取りあえず旅に同行するという話は、ドーナ達とも話し合わないといけないという旨だけはリリンに伝えておいた。
すると彼女は不敵に笑う。
「まぁいいわ、その子たちにはちゃんと私が話してあげる。」
彼女は何かを企んでいるような表情で言った。
「さて、私達で同盟を組むっていう話は一先ずこれでいいわね。でも解決しなきゃいけない問題はまだ残ってるわ。」
「リリン達が開けた穴を埋めに来るやつのことだな?」
「そう、間違いなく私が裏切ったことはバレてるだろうし、誰かしら刺客が送られてくるのは間違いないわ。多分、この状況を解決できる力を持った幹部が送られてくると思う。」
「幹部か、そういえばリリンはどんな役職だったんだ?」
「私?私は名目上は幹部補佐だったけど。」
「幹部は全部で何人いるんだ?」
「今は三人だったかしら。」
三人か、もし後詰めで来た幹部を一人潰せれば戦力を大幅に削ることができそうだな。そう画策してはみるが…そう簡単なことじゃないよな。
「もし、その幹部が攻めてくるのであれば確実に潰しておきたいところではあるな。」
「そうね、アイツらの誰か一人でも倒せれば大きな打撃になることは間違いないわ。ま、簡単じゃないけどね。」
「あぁ、だから俺は獣人族にもこの同盟の話を持ちかけてみようと思う。シンも協力してくれれば勝率はきっと上がる。」
だが、問題はどう説得するかだよな。無理矢理従わされていたとはいえ、リリンは国民を殺した張本人だ。そこのところをどう説明するかが肝になる。
「それはありがたいのだけれど、この国は私達を許すかしら。」
「そこは俺が何とかするさ。」
リリンもやはりそこのところが心配のようだ。多少なりとも罪悪感は感じているらしい。その気持ちがあれば説得には十分だ。
「さて、そうと決まれば一度帰ってシンを説得してみるか。」
「私も一緒に行くわ、当の本人がいないと話が進まないでしょ?それに一言謝罪もしたいしね。」
「そうか、わかった。ただ一つ条件がある。」
「なにかしら?」
「シンと話ができるまでの間はこのバッグの中に入っててもらう。もしその前にリリンの姿が見つかれば厄介なことになりそうなんだ。」
特にドーナとランの二人が……な。
「ふーん、まぁいいわよ。」
何とかリリンは納得してくれたようだ。これで少しでも問題事が防げればいいんだが…。
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