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第三章
フレイのお願い
しおりを挟む「じゃあ入るぞ。」
扉を開けて中に入ると、純白のショートドレスに身を包んだフレイがいた。フレイの特徴である銀色の髪と深紅色の瞳に白いドレスがよく似合っている。
思わず魅入っていると、彼女は少し恥ずかしそうにしながら言った。
「そ、そんなにまじまじと見られると恥ずかしいな。」
「すまない、あんまりにも似合っていたものだから。つい…。」
「えっ!?あっ、そう……なんだ。ま、まぁ座ってよ!!せっかくテーブルとイスがあるんだし。」
「ありがとう。」
そして、イスに座り向かい合う形になった。俺が座ったのを確認して彼女はパンパンと手を叩く。するとテーブルの影から、リリンの配下のライラという獣人がするりと出てきた。
「お呼びですか妹様。」
「ライラ、紅茶二つ淹れてくれる?」
「了解しました。少々お待ち下さい。」
ぺこりとフレイに一礼すると、ライラは再びテーブルの影へと潜っていった。
それを見送ったフレイは再びこちらに視線を戻すと、お礼の言葉を述べてきた。
「今回は本当にありがとう。実はかなり危ないところまで追い詰められてて…本当に苦しかったんだ。」
「あぁ、実はその事なんだが……。」
俺はフレイにその時の記憶がないことを伝えた。すると少し残念そうな表情を浮かべる。
「そうなんだ、でもあれだけ強い力を使ったんだからしょうがないかもね。でもすごくかっこよかったんだよ?」
と、最後は笑顔で言ってくれた。
「それで、体の方は問題ないのか?」
先程かなり危なかった…と言っていたので少し心配になり問いかけてみる。すると少し顔を赤らめながらフレイは話し始めた。
「うん、実はその事でヒイラギさんに話があったんだ。」
「俺にできることがあったら言ってくれ、できる限りのことはしよう。」
「ほ、ホントに?」
そしてフレイは一度深呼吸をしてから話し始めた。
「実はまだ体力が回復してなくて……それでね?よかったらヒイラギさんの血を少しだけ、分けてほしいんだけど…ダメかな?」
リリンの妹ということもあって彼女も吸血鬼なのだろう。体力を回復させるためにはどうやら血液が必要らしい。
「それぐらいなら別に構わないぞ。」
彼女のお願いに即答すると……。
「そうだよね、ダメだよね…。そんな簡単に血を吸わせてくれるわけ……っていいの!?」
フレイは驚きながらも、食い気味に体を乗り出して確認してきた。
まぁ、たぶん献血みたいなものだろうし……多少の血ぐらい分けることに抵抗はない。
「あぁ、いいぞ。俺はどうすればいいんだ?」
「あっ、えっと…肩から吸うから上着脱いで背中向けてほしいな?」
「わかった。」
着ていた上着を脱ぎ、上半身をはだけさせると彼女に背中を向けるのだった。
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