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第三章
フレイとの再会
しおりを挟むリリンの後をついていき、先程までいた部屋の一つ下の階へ下ってきた。
松明で照らされた薄暗い廊下を進み、リリンはある扉の前で立ち止まった。
「ここがフレイの部屋、本当に覚えてないの?」
彼女がこちらを振り向いて聞いてくるが、全く覚えがない。
首を横に振ってその意思を伝えると……。
「魔力切れで記憶喪失……私も永いこと生きてきたけど、初めて見たわよ。」
そしてリリンはコンコン……と部屋をノックした。
「フレイ、私よ。」
「お姉さま?」
「あの人の目が覚めたから連れてきたわ。フレイ会いたがってたでしょ?」
「えっ!?もう目が覚めたの!?あーうー、どうしよ……。」
「入ってもいいかしら?」
「ちょ、ちょっと待って!!」
すると、部屋の中でバタバタと慌ただしい音がし始めた。いったい何をしているのだろうか……。
数分後、部屋からの音が無くなったのを確認してリリンは再び声をかけた。
「フレイ?入るわよ?」
「あっ!!わっ!?ちょっと!!」
リリンが扉を開けるとそこには……大きな鏡の前で服を自分に合わせている下着姿の少女がいた。
少女は顔を真っ赤にして、少し涙ぐんだ目でこちらを見ていた。
俺は慌てて後ろを振り向いた。すると、リリンに服の裾をグイグイと強く引っ張られた。
「見た?」
「見てないぞ。」
「ふーん?」
後ろを向いている俺にリリンがそう聞いてくるが、俺は断じて白いフリフリのついた下着姿の少女なんて見ていない。……見ていないのだ。
後ろを向いているため姿は見えないが、ズンズンとこちらへ向かってくる足音が聞こえてくる。
「お姉さまの……バカーッ!!」
バチイィィン!!!
「へぶっ!?何で私だ……け……ガクッ―――。」
フレイという少女からリリンに向けて平手打ちが放たれたようで、隣りにいた彼女は俺の眼の前の壁に思い切り叩きつけられた。
リリンはその凄まじい一発でのびてしまったようだ。
頬に真っ赤な手形を刻まれ、ぐったりとしているリリンの姿を見て思わず青ざめていると、後ろから声をかけられた。
「ヒイラギさんは見てないよね?」
「断じて見てない……。」
「そっか……ちょっと残念かも。」
最後の方がぼそっと喋っていたため、何を言っているのかわからなかったので聞き返すと……。
「ううん!!何でもないよ。すぐに着替えちゃうから、もう少しそこで待っててくれると嬉しいな。」
「わかった。」
そしてフレイは扉を閉めたようだ。すると、少しして扉の向こうから声がかかった。
「もう入っても大丈夫だよ。」
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