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第三章

盟約の破壊

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 リリンとともに部屋の中に入ると、大きなベッドの上で横になっていた銀髪の少女と目が合った。

「お姉さま、その人は?」

「貴女を縛っている盟約を消し去ってくれるかもしれない人よ。大丈夫、しっかり盟約を結んだから貴女に危害は及ばないわ。」

「初めまして、ヒイラギだ。」

 軽く自己紹介すると、彼女は不安そうな表情で問いかけてきた。

「本当に大丈夫なの?その辺の盟約とはわけが違うんだよ?もし失敗したらあなただって、きっと無事じゃ済まない。」

「大丈夫だ、絶対に解除してみせる。」

「……そっか、そこまで言うなら……。ほら、いつでもいいよ。」

 そう言って彼女は大の字に体を広げた。

「ありがとう。じゃあ始めるぞ。」

 死の女神への憎しみ、怒りを糧にブレスオブディザスターを体に纏わせる。それによって現れた黒いオーラは、リリンの妹に繋がっている普段は見えない太い鎖を可視化させた。

 少し触れてみるとバチッと弾かれてしまう。とてつもなく強い力が込められているようだ。

 強い力には……強い力で真っ向から対抗してやる。

 数多くの宝玉を体に取り込んだことで、大きく上昇した魔力をすべてブレスオブディザスターへと注ぐ。

「これでどうだッ!!」

 リリンの妹を繋いでいる鎖を握りしめると、俺の体を伝って黒いオーラが鎖を覆っていく。黒いオーラが体から離れていくと、自分の魔力が急速に減っていくのがわかる。

 黒いオーラが鎖を蝕み始めると、ビキッ……と鎖にヒビが入る。

「まだ……だっ。」

 一滴も……残さず注ぎ込めッ!!

 余すことなく俺のすべてを注ぎ込んだと同時、バキンと鎖が千切れ、虚空に消えていく。

「い、いけた……かな?」

 ホッと一息つく間もなく、ズキンと頭が割れるようなとてつもない痛みが襲いかかってきた。

「ぐっ……頭が、割れる。」

 足元もおぼつかなくなり、床に前のめりに倒れ込んだ。

「ちょ、大丈夫なの!?」

 倒れた体をリリンが起こしてくれたが、すでに俺の意識は遠ざかりつつある。体を支えてくれているリリンへと俺は言葉を絞り出した。

「や、約束は守ったからな。」

 その言葉を絞り出した直後、俺の意識はブツンと途切れて消えた。
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