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第三章
吸血鬼対策
しおりを挟む「ヒイラギ~?入ってもいいかしら?」
今度訪ねてきたのははラン達のようだ。タイミングがよくて助かった…もしさっきの光景を見られていたらと考えると震えが止まらない。
「入っていいぞ。」
ガチャッとドアを開けてドーナとランの二人が入ってくる。
「あら、シアは寝ちゃったのね」
「お風呂でさっぱりして眠くなったのかねぇ。」
二人は大きなベッドの真ん中で寝息をたてているシアを見て言った。
「あぁ、多分そうだろうな。」
二人が椅子座ると、レイラはこちらにぺこりと一礼した。
「それでは私は失礼致します。」
「あぁ、ありがとうレイラ。助かったよ。」
レイラが部屋を後にしたのを見送ると、ランが質問を投げかけてきた。
「あのメイドさんと何してたの?」
「ここにある果物の事を教えてもらっていたんだ。」
果物が盛られた皿を指差した。まさかさっきの出来事を話すわけにもいかないし、あれは心のなかで永遠に腐らせておこう。
「そう、ならいいんだけど。」
納得してくれたところで、いよいよ俺は本題を切り出した。
「さて、そろそろ本題に入ろうか。」
「これからについて…だね?」
「あぁ、今回何とか死の女神の魔物の大軍を退けることはできたが、奴らを率いていた親玉が倒せていない。」
親玉である吸血鬼リリンという存在。もし魔物を生み出す術を持っているのがそいつだとしたら……リリンを倒さない限り無限にこの国は魔物に襲われ続ける。
「ドーナは吸血鬼って存在について何か知らないか?」
「吸血鬼……冒険者だった頃、下級の吸血鬼を倒したことはあるよ。下級の吸血鬼は昼間は陽の光があるせいで力が抑制されるって弱点があった。」
「ふむ、吸血鬼全てがそういう弱点だとしたら……姿を現すのは夜か。」
夜に奇襲をかけられたらかなり厄介だな……。わざわざ自分の力が抑制される昼間に姿を現すとも考えにくいし、可能性は十二分にある。
「今夜……もしかするとそのリリンってやつが姿を現すかもしれない。二人も気を付けてくれ、何か異変があったらすぐに知らせるんだ。」
「わかったわ。」
「わかったよ。」
それと、リリンの配下らしいあの黒い獣人族の女性……彼女は昼間だろうが夜だろうがお構いなしに襲ってくる。そっちの警戒もしておかないと。
そしてドーナたちと綿密な打ち合わせを終えると、部屋のドアが少し強めにノックされた。このノックはおそらくシンだろうな。
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