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第三章
シア大暴走
しおりを挟む「グレイス~、そこどいて?」
悪魔的な笑みを浮かべるシアに、そう言われたグレイスは…。
「あっ、あっ……シアちゃん邪魔してごめんっすー!!」
ぴゅーんと俺の前からいなくなった。
「ぐ、グレイスー!!」
「えへへぇ~それじゃあ……。」
シアは指先にあった球体を消し、あーんと口を開けて右手に近づいてくる。
「いただきま~す!!」
半ば諦め目を瞑ると、指先に熱を帯びた吐息が当たる。その次の瞬間、人差し指が温かいものに包まれる。
少し目を開けると、ブンブン尻尾を振りながら俺の人差し指を飴のように舐めているシアの姿があった。
「えへへぇ~お兄さんのおてて美味しい~♪」
少しざらついた舌が、指を這い回る感触は背筋が変にゾクゾクと震える。
(こ、これからはマタタビの扱いには気をつけよう……。)
そう決意を固めていると、トントンと部屋がノックされた。
「ヒイラギ様、もしマタタビでお困りでしたらお手伝いいたしましょうか?」
た、助かった。メイドのレイラが心配して声をかけてくれたようだ。
「すまない、お願いしてもいいか?」
「かしこまりました。それでは失礼致します。」
ガチャッと扉を開けてレイラが入ってくると、今のこの状況を見て言った。
「これは手についたマタタビの微かなフェロモンを舐めているのだと思われます。このぐらいでしたらもうすぐ収まると思いますよ。」
「本当か?」
それなら、まぁ少し待ってみるか……。
それから少しするとレイラの言う通り、唐突にシアは舐めるのをやめた。
「えへへ~お兄さんありがとっ♪あれっ?でもふらふらする~。」
直後、シアはぐっすりと眠ってしまった。
「ふぅ、何とか収まってくれたみたいだ。これって依存性とかは大丈夫なのか?」
「問題ございません。寝て起きたら忘れておりますよ。」
「そうか……よかった。」
ホッ…とひと安心していると再び扉がノックされた。
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