転生料理人の異世界探求記(旧 転生料理人の異世界グルメ旅)

しゃむしぇる

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第三章

大浴場にて

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 レイラのあとに続いて部屋から出ると、ちょうどドーナとランの二人もメイドさんに連れられ部屋から出てきている最中だった。

「あら?ヒイラギも今からお風呂かしら?」

「あぁ、シアとグレイスのことは頼んだ。」

 二人にシアとグレイスを預け、俺は皆とは別方向に案内された。
 まるで迷路のような王宮内を進んでいくと……。

「こちらがオスの湯……でございます。入ってすぐが脱衣場になっておりますので、衣服はそちらでお脱ぎ下さい。」

「わかった、ありがとう。」

「ごゆっくりお楽しみください。」

 オスの湯の扉をくぐると、広い脱衣場が現れた。いったい何人同時に入ることを想定して作ったんだこれ……。

 思わずその広さに唖然としていると、脱衣場の服入れに1つだけ服が入っているものがある。
 これは、さっきまでシンが着ていた服だな。

「それじゃあ俺はここに服を入れるか。」

 俺はシンの何個か隣の服入れに脱いだ服を入れていった。
 そしていざ大浴場へと足を踏み入れる。

 ガラガラと横開きの扉を開けると目の前にとても大きな風呂が現れた。
 湯船からはモワモワと湯気が立ち上ぼり、また枠組みなどには木材が利用されているようで、リラックスできる木の香りが大浴場に満ちていた。

 湯気で見にくいが、湯船のなかに既にシンは入っていたようだ。

「む?来たかヒイラギ、風呂の使い方はわかるか?」

「あぁ、問題ない。風呂は大好きだからな、礼儀作法はわかってる。」

 シャワー等機械的な物は無いが、その代わりに湯船の他にもうひとつお湯が満ちている場所がある。
 そこに風呂桶が置かれていたため、ここで体を洗い流せばいいんだろう。

 そこで体を洗い、汗や埃などをきっちり落としてからシンが入っている湯船へと向かう。そこで、さらにもう一度その湯船からお湯を掬い再度体を流してから湯船に浸かる。

 足からゆっくり肩までしっかりと浸かると、体の奥底から自然と声が出てしまった。

「あ゛ぁ~、染みる。」

「人間も獣人族も風呂に入ったときのその声は変わらぬのだな。」

 シンがこちらをみて笑っていた。

「そうみたいだな。それで、何か言いたいことがあって俺のことをここに呼んだんだろ?」

「うむ、実はな……。」

 そして、シンの口から俺に告げられたことは、これからの種族のあり方を大きく変えることだった。
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