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第三章
メイドのレイラ
しおりを挟む貸してもらった王宮の一室へと足を踏み入れると……。
「ここも凄いな。使っていない部屋とは思えないぐらい豪華だ。」
洋式に近い装飾が施された家具……とても大きなベッド。まるで高級ホテルのスイートルームだな。
取りあえず椅子に腰掛け一休みすることにした。
「ふぅ、なんかどっと疲れが来たな。」
椅子に腰掛けると急に疲れが一気に襲ってきた。ピン…と張り詰めた緊張感に晒され続けたせいだろう。
椅子に深く腰掛けて休んでいるとマジックバッグがもぞもぞと動きだし、シアとグレイスがヒョコッと顔を出した。
「お兄さん、もうでてきても大丈夫?」
「あぁ、もう大丈夫だぞ~。」
その答えを待ってましたと言わんばかりに、ピョンとバッグからグレイスを抱き抱えたシアが飛び出してきた。
そしてシアは俺の前の椅子に座る。するとシアはこちらの表情に疲れがあったのを、敏感に感じ取ったようで…。
「お兄さん疲れてる?」
「これくらいなんともないよ。心配してくれてありがとな。」
そう安心させるように言って、シアの頭を撫でた。ゴロゴロと喉をならして気持ち良さそうにしている。
シアの頭を一通り撫でた後、俺はグレイスに声をかけた。
「グレイスは疲れてないか?」
「自分は大丈夫っす!!久しぶりにおもいっきり空を飛べて気持ちよかったっすから。」
「そうか、疲れたときは無理せずに言うんだぞ?」
「了解っす!!」
三人で話していると、俺達の部屋のドアがコンコンとノックされた。
「シン様より仰せつかって参りました、メイドのレイラと申します。一度入ってもよろしいでしょうか?」
「あぁ、入って大丈夫だ。」
「失礼致します。」
ドアを開けて入ってきたのは、茶色い垂れた耳が特徴的なの犬の獣人だった。
「改めまして、この度ヒイラギ様の身の回りのお世話をさせていただくことになりました。レイラと申します。早速ですが、シン様が大浴場にてヒイラギ様をお待ちになっております。お着替えはこちらで準備させていただきますのでご安心ください。」
大浴場か、今は最高のもてなしだな。戦闘で汗もかいたし土埃も被ったからな。
「わかった。案内してもらってもいいか?あとこの子は…。」
「大丈夫です。そちらのお子様は、残るお二方と一緒に別の大浴場でお風呂に入ってもらうように仰せつかっておりましたので。」
「そっか、なら安心だ。」
そしてメイドのレイラに案内され、俺達は部屋を出た。
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