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第三章

獣人族の王宮

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 馬車から降りると、複数のメイドの獣人達に迎えられた。

「「「「お帰りなさいませ。」」」」

「うむ、ただいま戻った。この三人は我の客人だ。最高のもてなしを頼む。」

「「「「かしこまりました。」」」」

「それでは中へ入ろうぞ。」

 シンの後に続き、王宮の中へと入る。その中はとてもきらびやかでまさにという言葉がぴったり当てはまる。

 周りをキョロキョロと、見渡しているとシンが苦笑いしながら言った。

「キラキラと眩しかろう?我もここに住んで長いが、未だにこの装飾が放つ光には慣れぬ。」

 どうやら彼はあまりこういう、いかにもな装飾は嫌いらしい。

「いっそ一度全て売り払って、全て違うものにしようとしたこともあったが、メーネルやらガルドやら重役達に反対されてしまったのだ。」

「そりゃあそうだ。」

 案外シンのそういうわがままに付き合っているあの獣人達は、ホントに気苦労しているのかもしれない。

 そんな他愛ない話をしながら王宮の中を進んでいると長い廊下のある所に来た。

「ここから先は全て客人用の部屋だ。」

「これ……全部そうなのか?」

「全部だ。」

 凄いな、全部で何部屋あるんだ?軽く20部屋位あるんじゃないか?

「因みにだが、こんな感じの使われていない客人用と称している部屋はまだまだあるぞ?」

「こんな部屋も毎日メイドさん達が掃除してるのか?」

 そう問いかけると、シンはゆっくりと首を縦に降った。

「うむ、だから先程メイド達は大変だ……と言っていたのだ。」

「マジか。」

 この王宮の広さだ、普段使う部屋を掃除するだけでも相当な時間がかかるはず。
 それなのに、こんな使うかもわからない部屋まで毎日掃除しているなんて……もし俺がここの主だったらメイドさん達には頭が上がらなくなりそうだ。

 シンもそんな気持ちなのだろうか?

「さて、民達の前での戦果報告まではまだ時間がある。それまでに身だしなみを整えておくのが良かろう。」

 流石に人前にこの砂ぼこりが着いた服では出られないからな。

「あぁ、そうするよ。部屋はどこを使ってもいいのか?」

「好きに使って構わん。」

「それじゃあ俺はここを使わせてもらうよ。」

「それじゃワタシはココ~。」

「あ、アタイは……ここで。」

 各々自分が使う部屋を決めると、シンがメイドを3人呼ぶ。

「メイドを各一人つかせる故、何か分からぬことがあれば聞いてくれ。」

「わかった。ありがとう。」

 シンに礼を告げて俺達は各々部屋に入った。
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