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第三章

王都防衛戦②

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 何匹もの魔物と戦っていると、ふとあることに気がついた。

(こいつらやけに統制がとれているな。)

 この魔物達はまるで軍隊のように統率がとれているのだ。もし相手にしているのが人間であれば統率がとれていても不思議ではない。
 だが、今の相手は魔物だ。確かに一匹一匹はまずまずの強さではあるが、頭を使えるほどの知性は無さそうなのだ。
 そんな魔物が統率された動きを見せている……。

 考えながらも襲いくる魔物を倒していると、魔物達にある共通点を見つけることができた。

「あのマーク、さっき倒したやつの腕にもついていたな。」

 今対峙している魔物の額には奇妙なマークが書かれていた。さっき倒した魔物の腕にも同じものが書かれているのを俺は見付けていた。
 目線だけを動かして周りを見渡すと、どうやら他の魔物にも同じものが体のどこかしらに刻まれているようだ。

 確かベルグの姿をしていたヤツも盟約か何かに縛られていた……もし親玉である吸血鬼リリンが何かしらの動きをするように魔物を縛っているとしたら……。

 この統制のとれた魔物の動きにも納得がいく。

 吸血鬼リリンという人物がこの戦場に出てきていれば、この魔物達を無視してでもすぐに倒しにいくんだが……。

「まずいないだろうな。」

 もし自分がその立場だったらどうだろうか。確実に勝てる戦いで、しかも兵士は言われた行動を確実に遂行する。そんなに圧倒的有利な状況でわざわざ危険が伴う戦場に赴き、直々に指揮を執るだろうか?

 答えは否だ。

 余程心配性なヤツでない限り、わざわざ戦場に赴いてくることはない。

 だが、いないなら引きずり出してやればいいだけだ。もうこの戦場では敵の予想外のことが起きている。
 それは絶対に間に合わないと予想していた俺とシンの応援が間に合い、圧倒的不利だった状況が少しずつ好転し始めていることだ。
 シンの到着によって獣人族の兵士達は士気を上げ、少しずつ魔物達を押し始め……さらに横からは俺達が魔物をなぎ倒している。

 魔物達も崩されつつある戦線を立て直そうと動き始めてはいるが、獣人族に邪魔をされ、それも満足にいかない。

 この変わりつつある状況で、いつまで高みの見物を続けられるかな?
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