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第三章
王都では……
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王都の獣人族side
「まったく、王には困ったものですよ。」
と、羊の獣人が呟いた。彼の名前はメーネル、シンの秘書を勤めている。
「そう言うな、今回ばかりは仕方ないのではないか?」
狼の獣人が羊の獣人をそうなだめた。彼はガルド、この国の兵士のトップだ。
「人間……ですからねぇ、前線の部隊を救ったと聞きましたが、いったい何が目的なのかさっぱりわからないですね。」
「ベルグの報告によれば敵対の意思は無いらしい。むしろ友好的だそうだぞ?」
うーむとメーメルは唸り頭をかしげた。
「彼は確か嘘を見極めるスキルがありましたね。」
ベルグはそのスキルが優秀なため、今の部隊の指揮官にまで抜擢された。獣人族の兵士たちの中でそれは有名な話だ。
当然メーネルの耳にもその話は届いていた。
「あぁ、そのベルグがそう言ってるんだ。間違いはないだろう。」
「むむむ…ですが王がお一人で向かってしまわれたのがよくないのですよ。」
「確かにな、この前ちゃんと言ったはずなんだが。」
ガルドが頭を抱えそう言った。
「王は昔からあぁですからね、何かあればすぐさますっ飛んで行ってしまう。」
はぁ~……と二人は共にため息を吐いた。
すると二人が会談をしていた部屋のドアが突然ドンドンと激しくノックされた。
「そんなに強くノックしたら壊れてしまいますよ?入りなさい。」
バン!!と扉を開けて一人の兵士が入ってきた。走ってきたのか、肩で息をしている。ただ事では無さそうだ。
「そんなに急いでいったい何があった?」
「も、申し上げます!!現在王都に多数の魔物が押し寄せております!!しかも前線に現れた魔物とは比べ物にならない強さのようです!!」
その言葉を聞いたガルドはバン!!と机を叩きながら立ち上がり兵士に指令を下す。
「なんだと!?すぐに防衛線を築け!!」
「りょ、了解!!」
バタバタと兵士は部屋を後にした。
「メーネルは国民の避難指示を頼むぞ!!こっちは防衛線の指揮を執る!!」
「わかりました。任せてください。」
ガルドも兵士の後を追って部屋から出ていった。
「時は一刻を争いますね。」
メーネルは胸ポケットからベルを取り出し鳴らした。すると部屋に何人かの兵士が入ってきた。
「国民の避難誘導をすぐさま始めなさい。そして王の元へ早馬を走らせるのです。この事態を一刻も速く王に伝えるのです!!」
「了解!!」
王よ、早く…早く戻ってきてください。でないとこの国は…。
「まったく、王には困ったものですよ。」
と、羊の獣人が呟いた。彼の名前はメーネル、シンの秘書を勤めている。
「そう言うな、今回ばかりは仕方ないのではないか?」
狼の獣人が羊の獣人をそうなだめた。彼はガルド、この国の兵士のトップだ。
「人間……ですからねぇ、前線の部隊を救ったと聞きましたが、いったい何が目的なのかさっぱりわからないですね。」
「ベルグの報告によれば敵対の意思は無いらしい。むしろ友好的だそうだぞ?」
うーむとメーメルは唸り頭をかしげた。
「彼は確か嘘を見極めるスキルがありましたね。」
ベルグはそのスキルが優秀なため、今の部隊の指揮官にまで抜擢された。獣人族の兵士たちの中でそれは有名な話だ。
当然メーネルの耳にもその話は届いていた。
「あぁ、そのベルグがそう言ってるんだ。間違いはないだろう。」
「むむむ…ですが王がお一人で向かってしまわれたのがよくないのですよ。」
「確かにな、この前ちゃんと言ったはずなんだが。」
ガルドが頭を抱えそう言った。
「王は昔からあぁですからね、何かあればすぐさますっ飛んで行ってしまう。」
はぁ~……と二人は共にため息を吐いた。
すると二人が会談をしていた部屋のドアが突然ドンドンと激しくノックされた。
「そんなに強くノックしたら壊れてしまいますよ?入りなさい。」
バン!!と扉を開けて一人の兵士が入ってきた。走ってきたのか、肩で息をしている。ただ事では無さそうだ。
「そんなに急いでいったい何があった?」
「も、申し上げます!!現在王都に多数の魔物が押し寄せております!!しかも前線に現れた魔物とは比べ物にならない強さのようです!!」
その言葉を聞いたガルドはバン!!と机を叩きながら立ち上がり兵士に指令を下す。
「なんだと!?すぐに防衛線を築け!!」
「りょ、了解!!」
バタバタと兵士は部屋を後にした。
「メーネルは国民の避難指示を頼むぞ!!こっちは防衛線の指揮を執る!!」
「わかりました。任せてください。」
ガルドも兵士の後を追って部屋から出ていった。
「時は一刻を争いますね。」
メーネルは胸ポケットからベルを取り出し鳴らした。すると部屋に何人かの兵士が入ってきた。
「国民の避難誘導をすぐさま始めなさい。そして王の元へ早馬を走らせるのです。この事態を一刻も速く王に伝えるのです!!」
「了解!!」
王よ、早く…早く戻ってきてください。でないとこの国は…。
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