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第三章
敵の策略
しおりを挟むその後、今後の予定について話し合っていると一人の兵士が血相を変えてハウスキットの中へと入ってきた。
「ハァハァ!!で、伝令!!王都に大量の魔物が襲来!!」
「なんだと!?被害はどうなっている!!」
シンがものすごい形相で吠えるように言った。
「そ、それが…情報が錯綜していて確実なものが。」
王都といえばおそらくシンがいる都のことだろう。彼がここに来たタイミングに合わせて攻め入っている辺り、彼が王都を離れる時を狙っていたんだな。
「どうやら敵の罠に嵌ってしまったようですね。」
「むっ?それはどういうことだ!!」
シンが俺に詰め寄ってくる。
「シンさん、あなたが王都という場所を離れるその時を……魔物を率いている何者かがずっと待っていたということです。」
「な、なんだと!?」
「ただ、タイミングが良すぎる……。」
王都に攻め入るにも、シンがここに居るという確証が必要なはずだ。ということは彼を監視している敵が近くにいる。
「これはあくまでも予想の範囲に過ぎないのですが、恐らくシンさんを監視している敵が潜んでいる可能性があります。」
「そんな馬鹿な…。」
シンがここに来たことを確認して、何らかの方法で連絡をとり王都に攻撃を仕掛ける合図を送った…と、考えるとこのタイミングのいい事象に全て辻褄が合うのだ。
そして今、俺の話を聞いてわずかだが動揺を見せた奴がいる。
その人物に向かって鑑定を使った。すると、名前と姿が一致しない。完全にクロだ。
俺はクロだということを確認して、即座にベルグの姿をした何者かを取り押さえた。あまりに急なことにシンは驚き声を上げる。
「な、何をする!!」
「シンさん、こいつはベルグじゃありません。」
「ぐあっ!!何しやがるヒイラギッ!!」
ここまでされてもまだベルグを装うか……。いいだろうならこっちにも考えがある。俺はサンダーブレスを右手に纏わせ、ベルグを装う者の右腕を切った。
「ぐああぁぁぁ!!」
「待てヒイラギ!!これ以上は我が許さんぞ!!」
「シンさん、そこの右手を見てみてください。その手が本当にベルグの腕に見えますか?」
俺は先程切り落とした右腕を指差した。それに目を向けたシンは目を見開いて驚く。
「こっこれは!?いったいなんだ?」
先程までベルグの腕の姿をしていたものは、まったく別の異形なものに変わってしまっていたのだ。
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