転生料理人の異世界探求記(旧 転生料理人の異世界グルメ旅)

しゃむしぇる

文字の大きさ
上 下
208 / 1,052
第三章

宴会

しおりを挟む

 ベルグの案内のもと宴会会場へと料理を運んだ。手際のよいことに既に会場は設営が完了しており、テーブルや椅子までもが用意されていた。

 ベルグの部下達は既に着席していて、1つだけ大きなテーブルが余っていた。恐らくあそこが俺たちの席だろう。

「おう、お前達ご苦労だった!!さぁメシだぞ!!」

 ベルグが会場全体に響く声で言うと、そこかしこで歓声が上がった。

 そして皆で手分けして各テーブルに料理を置いていく。見たことのない料理をまじまじと眺める者もいれば、料理の香りに刺激され腹の虫が鳴る者、はたまたヨダレが溢れそうになり食べるのを今か今かと待ち望む者等々、彼らは様々な反応を見せてくれた。

 ようやっと全てのテーブルに料理を配膳し終えると、ベルグが再び声を上げた。

「よっしゃあ!!お前らぁメシは行き渡ったな!?」

「「「「「オォォォォーー!!」」」」」

「わかってると思うがこのメシは我らの恩人のヒイラギが作ってくれた!!感謝しながら食べろよ!!」

「「「「「オォォォォーー!!」」」」」

 ベルグの声の後に続き拍手や、歓声が辺りに響く。

 ベルグはこちらをチラッとみて何か話すか?といった意味合いのアイコンタクトをとって来た。特に話すこともないので首を横に振る。

「それじゃあお前らぁ!!戦いの終結を祝って、宴会開始だあぁぁぁぁ!!」

 その言葉を合図に獣人族達は一斉に料理にむらがった。我慢という鎖が外れ、大量の料理を口に入れ8日ぶりの食事に皆舌鼓をうっているようだ。

「おうおう!!がっついてやがるな。」

 普段と同じ味付けで美味しいと思ってくれるか不安だったが、彼らが食べているところを見るに美味しく食べているようだ。

「さて、俺達も食べようか。ベルグも腹減ってるんだろ」

「ガハハ!!違いねぇ。」

「それじゃあさっそく……。」

「「「いただきます!!」」」

 いつもの食前のあいさつとともに食べ始める。

「それじゃオレも遠慮なく食わせてもらうぜ。」

 ベルグは豪快にピカタを何枚かフォークでさし、口へ放り込むと驚愕した。

「う、うめえぇ!!」

 ベルグを繋いでいた我慢の鎖もブツンとちぎれ、すごいスピードで次々に料理を口へ運んでいった。

「さ、みんなも食べないと俺達が食べる分もベルグにとられちゃうぞ?」 

 ベルグのそんな姿にあっけにとられていた皆にそう言った途端に、ハッとなったのかいそいそと皆も料理を取り、口へ運んでいた。

 宴会はまだまだ始まったばかりだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ

高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。 タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。 ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。 本編完結済み。 外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。

最凶と呼ばれる音声使いに転生したけど、戦いとか面倒だから厨房馬車(キッチンカー)で生計をたてます

わたなべ ゆたか
ファンタジー
高校一年の音無厚使は、夏休みに叔父の手伝いでキッチンカーのバイトをしていた。バイトで隠岐へと渡る途中、同級生の板林精香と出会う。隠岐まで同じ船に乗り合わせた二人だったが、突然に船が沈没し、暗い海の底へと沈んでしまう。 一七年後。異世界への転生を果たした厚使は、クラネス・カーターという名の青年として生きていた。《音声使い》の《力》を得ていたが、危険な仕事から遠ざかるように、ラオンという国で隊商を率いていた。自身も厨房馬車(キッチンカー)で屋台染みた商売をしていたが、とある村でアリオナという少女と出会う。クラネスは家族から蔑まれていたアリオナが、妙に気になってしまい――。異世界転生チート物、ボーイミーツガール風味でお届けします。よろしくお願い致します! 大賞が終わるまでは、後書きなしでアップします。

異世界で等価交換~文明の力で冒険者として生き抜く

りおまる
ファンタジー
交通事故で命を落とし、愛犬ルナと共に異世界に転生したタケル。神から授かった『等価交換』スキルで、現代のアイテムを異世界で取引し、商売人として成功を目指す。商業ギルドとの取引や店舗経営、そして冒険者としての活動を通じて仲間を増やしながら、タケルは異世界での新たな人生を切り開いていく。商売と冒険、二つの顔を持つ異世界ライフを描く、笑いあり、感動ありの成長ファンタジー!

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

赤い流星 ―――ガチャを回したら最強の服が出た。でも永久にコスプレ生活って、地獄か!!

ほむらさん
ファンタジー
ヘルメット、マスク、そして赤い軍服。 幸か不幸か、偶然この服を手に入れたことにより、波乱な人生が幕を開けた。 これは、異世界で赤い流星の衣装を一生涯着続けることになった男の物語。 ※服は話の流れで比較的序盤に手に入れますが、しばらくは作業着生活です。 ※主人公は凄腕付与魔法使いです。 ※多種多様なヒロインが数多く登場します。 ※戦って内政してガチャしてラッキースケベしてと、バラエティー豊かな作品です。 ☆祝・100万文字達成!皆様に心よりの感謝を! 小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+にも投稿しています。  

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!

七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」 その天使の言葉は善意からなのか? 異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか? そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。 ただし、その扱いが難しいものだった。 転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。 基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。 ○○○「これは私とのラブストーリーなの!」 主人公「いや、それは違うな」

処理中です...