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第三章
心境の変化
しおりを挟むこちらに近づいてきた獣人族の兵士は、深く頭を下げた。
「人間の御方、どうか此度の無礼をお許しください。本当に助かりました、これで妻と息子にまた会うことができます。」
「頭を上げてくれ、こっちだって最初から良い印象で迎え入れられるなんて思ってなかったからな。」
「いえ、それでも命の恩人にとるような態度ではありませんでした。本当に申し訳ないです。」
そんな兵士の態度に感化され、次々と謝罪とお礼をする兵士が現れた。あっという間に獣人族の兵士たちに取り囲まれラッシュが始まった。
そして集まっていた全員の兵士にお礼を述べられると、ベルグがこちらに近寄ってきた。
「部下の無礼をオレからも謝罪させてもらう。すまなかった。」
最後にベルグがこちらに向かって頭を下げた。その姿に彼の部下達が驚いていた。
「「「た、隊長!?」」」
「ちゃんと彼らのことを説得してくれたんだ。頭を下げることなんてないだろ?」
しっかりベルグは自分の部下達を説得して見せた。それに彼らの最初の反応は分かりきっていたことだ。それに関しては何も思っちゃいない。
「ガハハ、あんたは器がでかすぎるぜ。」
「ベルグが気を使いすぎているだけだ。」
お互いにそう笑いあうと、俺は改めてベルグを含め彼の部下達の顔を眺めてみた。元気そうに振舞ってはいるものの、疲労感は隠しきれていない。
それに少し瘦せているようにも見える。それが気にかかりベルグに問いかけた。
「なぁベルグ、どのぐらいちゃんとしたご飯食べてないんだ?」
そう聞くとベルグは少し考えるそぶりを見せ、毛むくじゃらの指で数を数え始めた。
「今日で8日目だな。昼夜構わずあいつらは攻め込んできやがったから、まともに飯を食う暇もなかったんだ。」
「よくそんなに飲まず食わずで戦ってたな。」
「ガハハ!!オレらは体の丈夫さだけが取り柄だからな。」
「笑い事じゃないぞ。ここにいるみんな顔色が悪くなってるじゃないか。」
「オレとしても正直な話、この戦いがここまで長引くとは思ってなかったんだ。あの魔物どもは倒しても倒しても無尽蔵に湧いてきやがるんだ。」
「……状況はわかった。食料はあるのか?」
「あるぞ。兵糧庫に余ってるはずだ。」
よし、それなら話は早い。せっかく獣人族といい関係が築けたんだ、ここはもう一つ頑張ってみよう。
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