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第三章

獣人族との邂逅

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 残った魔物を殲滅した後に、俺は獣人族の指揮官と話をしていた。

「今回は助かった、礼をいう。だが、なぜ人間がここに居るんだ?それにどうしてオレ達獣人族を助けた?」

「ただ目の前で蹂躙されてるのを見過ごせなかったんだ。」

 そう言うと少し不安そうな表情を浮かべ、指揮官の獣人は言った。

「恩を売ってオレ達を奴隷にするつもりじゃないのか?」

 投げかけられたその疑問は至極尤もだ。過去に人間がやったことだからな。だが、俺は奴隷なんかには興味はない。

「そんなつもりはないさ、誓ってもいい。」

 きっぱりそう言いきると、彼らはポカンとした表情を浮かべた。そして少し考えた後に指揮官の獣人族が口を開く。

「アンタはこっちに伝わってる人間とは、全然印象が違うな。」

「人間だって色々いるんだよ。獣人族だってそうだろ?」

「ガハハ!!悪かった。ガキの頃から人間ってのはそういうもんだと聞いてたもんでな。」

 大きく声を上げて笑ってくれたところを見るに、どうやら信用は得られたらしい。すると、彼は俺の目の奥を覗き込むようにこちらに視線を向けてきた。

「だが、アンタは嘘をついてない。オレはそういうのはみりゃわかるんだ。」

 なるほどな、いい目を持ってる。指揮官に選ばれているのも納得だな。

 すると彼の方からスッと手をさしのべられ、握手を求められた。

「オレはベルグだ。改めて礼を言わせてもらう。本当に助かった、ありがとう。」

「ヒイラギだ。後ろの二人は赤い髪の女性がドーナ、青い髪の女性はランという。」

 ベルグは信用できそうな男だ。彼という獣人族と繋がりができたのはこれ以上なく心強いな。

「さっそくオレの部下にも紹介しよう。安心してくれ、アイツ等はオレが説得するさ。」

 そして、ベルグの部下が待機しているという建物へ向かった。そこの扉を豪快にベルグが開け放つと、俺の肩に手を置いて大声を上げた。

「オイ、お前達!!救世主様の登場だぞ!!」

 しかし、当然というか歓迎はされていないらしく。ベルグの部下達は何一つ声を上げることはなかった。

 するとベルグは自分の部下を一ヶ所に集め、説教を始めてしまう。

「テメェらは自分の命を救ってくれた命の恩人に感謝の言葉も言えねぇのか!?」

 すると恐る恐る1人の兵士が意見を述べた。

「で、ですが隊長……人間は……。」

「命の恩人に種族なんざ関係ねぇだろ!!」

「……。」

「オレに嘘を見極めるスキルがあるのはお前達も知ってるはずだ。そんなオレがここまで信用してるっつうのに、まだお前達は人間だからなんだかんだって言うつもりか?恩人は恩人だろうが!!」

 ベルグは自分の部下達へと向かって熱く語ると、大勢のベルグの部下達の中から1人の獣人が俺たちの前に歩み寄ってきた。
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