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第三章
戦況ヲ覆ス者
しおりを挟む獣人族と魔物が戦っている後方……つまり魔物側の背後を取った俺は、両手にサンダーブレスを纏わせた。
「二人とも下がっててくれ。」
少しドーナとランの二人を下がらせ、纏わせているブレスの出力をどんどん上げていく。
「行くぞっ!!」
サンダーブレスを纏った拳を思い切り地面に打ちつける。すると、まるで地を這う龍のように雷が地面を伝っていき、前方の魔物を大量に消し去っていく。
「もう一発だ!!」
ダメ押しにもう片方の拳も地面にたたきつけると、それから放たれた雷がまた大量に魔物を消し去る。この攻撃によって大量に犇めいていた魔物の軍勢の中にぽっかりと空間ができた。
そして俺の攻撃が終わるとほぼ同時、ドーナたちが残った魔物へと向かって走り出す。
「どっちが多く魔物を倒せるか勝負よ、ドーナ!!」
「望むところさっ!!」
「グギャアァァァ!?」
「ギュイィィィ!!」
突然の出来事で未だ呆けている魔物をドーナたちが迅速に倒していく。
「さて、俺もやろうか。」
片手にサンダーブレス、もう片方の手にはブリザードブレスを纏わせ敵陣へと突っ込んだ。
拳を一つ振るえばある魔物は灰塵となり、またある魔物は一瞬で体の芯まで凍らされ砕け散っていく。
そしてドーナたちと協力しあっという間に大量の魔物を蹴散らしていくと、目先に獣人たちの姿を捉えることができた。
「この獣人たちの中にもリーダーがきっといる。どこだ?」
魔物を蹴散らしながら、獣人の兵士を率いている人物を探す。すると、最前線で魔物に囲まれている他の兵士とは少し装備が違う獣人を見つけることができた。
「あの人かな。」
その獣人族の周りの魔物を一気に蹴散らし、彼の前に立つと衰弱しながらもこちらを警戒した様子を見せた。
「あ、あんた達は何者だ?」
「取りあえずあなた方の敵ではない、そこは安心してほしい。」
「な、なんで人間がこの国の中に……。」
「それについてはまたゆっくり、今はこいつらを倒しましょう。」
「あっ!?ま、待ってくれ!!」
彼の静止の言葉を振り切って、俺はまた次の魔物を倒しに向かった。
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