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第三章
イリスの魔法
しおりを挟む朝一番に飲むコーヒーはやはりとてもいいものだ。目が覚めるし、一日の始まりを感じる。モーニングコーヒーを味わっていると、イリスがこちらに歩み寄ってきた。
「ヒイラギさんお疲れ様でした。お怪我はありませんか?」
「あぁ、問題ない。ちょっと汚れただけだ。」
地面にたたきつけたりしたときに魔物の血が飛び散ったりしたため、服のいたるところに返り血がついてしまっていた。
「じゃあ少し動かないでくださいね?」
何をするのかわからなかったが、言われた通り動かないようにする。するとイリスがなにやら呪文を唱え始めた。
「汝その身を浄めたまえ……。」
その言葉とともに俺の体が明るい緑色の光に包まれ、服の汚れだけでなく体に付着していたものがすべて消えていった。
「おぉ!!きれいになった、ありがとう。」
「いいんですよ、毎日美味しいご飯を食べさせてくれているお礼です。」
綺麗になった服からふわりと爽やかな香りが香ってくる。この香りはどこかで……。
「ふふっ♪いい匂いですか?私と同じ香りなんですよ?」
「納得した、どこかで嗅いだことがあると思ったんだ。」
そしてイリスと二人でゆっくりと時間を過ごしていると、彼女が宝玉のことについて触れてきた。
「ずいぶん宝玉を貯めたようですね?」
「あぁ、これでいざとなったときに使える。」
「これから先何が現れるかわかりませんからね。」
「できればこれを全部使うようなことがなければいいんだがな。」
「そうですね、何事も穏便に済めば一番です。」
イリスは窓から空を見上げながらそう言った。これからのことに少し不安を感じているのかもしれない。
死の女神……これから何を仕掛けてくるかわからないから、しっかり準備しておかないとな。
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