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第三章
見張り
しおりを挟む以前大量に作って保存しておいた料理を何種類か食べて食事を済ませると、暗くなり始めた外へ俺は一人出た。
そして完全に陽が落ちると、その時を待っていたかのように無数の魔物の気配が押し寄せてきたのだ。
「来たか。」
月明かりで一瞬姿が見えたのは黒い毛並みの狼の群れ。中でも一匹だけ一際大きな狼を目視することができた。
おそらくアイツが群れのボスだな。
「ウゥオォォォ~ッ!!」
ボスの狼が遠吠えをあげ、それを合図にボス以外の狼がこちらに向かって走ってきた。
「ガウアァァァ!!」
ボスの様子を観察していると、もう目の前まで狼が迫っていて、牙を剥き出しにして噛みついてこようとしていた。
「ふっ!!」
飛び込んできた狼の下顎を膝で蹴りあげ首を掴み、走ってきている狼達へ向けて投げ飛ばした。
投げつけられた狼は走っていた狼を二、三匹巻き込んで吹っ飛んでいく。
飛びかかってきた狼を投げ飛ばし、別の狼にぶつけるという作業を何回か繰り返していると、あっという間にこちらへ走ってきていた狼は全滅させることができた。
「後はお前だけだぞ?」
そう言って一匹ポツンと取り残されたボス狼へと歩みを進めた。
「グルルルル…。」
威嚇のつもりだろうか、喉をならしてこちらを睨み付けている。それに怯まず、もうお互いにいつでも攻撃が仕掛けられる間合いに踏み込むと同時にボス狼は地面を蹴り飛びかかってきた。
ボス狼は仲間が噛みつこうとしてやられていったのを見て学習したらしく、爪で肉を抉りにきた。
一歩後ろへ下がり爪を避ける。しかし、攻撃はそれで終わらなかった。避けられた直後にボス狼は体をひねり、左の前足でさらに爪を繰り出してきた。
「器用だなっ。」
こちらへ伸ばされた左の前足を掴んで真下へ思いっきり引っ張った。すると力の向きが真下へ変わり、ボス狼は鼻から地面に突っ込んだ。
地面にぶつかった瞬間、ボス狼は足がピンと伸び全身が震えていたが、程なくしてそれもなくなった。
「取りあえず第一波は終わったな。」
大量の狼の魔物の死骸をかき分け、俺はあるものを探し始めるのだった。
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