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第ニ章

バフォメットの成長

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 攻撃的な構えから一歩でバフォメットの懐を侵略すると、やつの顔が驚愕に染まる。
 瞬きの瞬間を狙って距離を詰めたのだ。やつからは瞬間移動したように見えていることだろう。

 そして反応もできずにいたバフォメットの腹部にによって炎を纏った拳を叩き込む。
 すると、拳がヒットした瞬間爆炎が巻き起こったのだ。

「グォォォォッ!?」

 炎に巻き込まれながら勢いよく吹き飛んでいくバフォメット。散桜を使っていない状態で攻撃してこいつを吹っ飛ばせるか……ブレスの効果による追加攻撃だけじゃなく、纏い衣を使うことによって身体的な攻撃力も上がっているようだ。

 新技の思わぬ効果に驚いていると炎を転がって消したバフォメットが立ち上がる。

「な、なるほど…打突と火炎による二段攻撃か。なかなか効く。」

 打たれた腹部をさすりながらも、やつは笑う。

「だが、次は簡単には喰らってやらん。」

 お互いに距離を取り、間合いを測りあう。バフォメットも先ほどの強襲を警戒してなかなか攻めるに攻めきれない様子だ。

「この緊張感…たまらんな。これだから戦いはやめられんのだ。」

「ずいぶんと楽しそうだな。」

「強者との戦いだ、血沸くに決まっている。だが、この膠着具合はよろしくないなッ!!」

 膠着にしびれを切らしたバフォメットは、今度は逆に距離を詰めてきた。そしてこちらが少し拳を伸ばせば届く位置……つまりお互いの間合いでピタッと止まる。

「さあ、間合いだぞ?」

「あぁ、そういうことね。」

 バフォメットがこの位置で立ち止まった意味……それは言わずともわかる。

「ククク、やりたいことは分かるな?」

「……来いよ。」

 バフォメットがやりたかったこと……それは超至近距離での打ち合い…インファイトだ。

「ならば、ゆくぞオォォォ!!」

 雄たけびとともに凄まじい拳の連撃が繰り出される。だが前とは違い、無数の拳の中にわかりにくく偽装されたフェイントが織り交ぜられている。
 ただでさえ一つ一つの攻撃が、喰らえば即戦闘不能に陥ってもおかしくはない一撃だ。そんなものが飛んできている中、隠されたフェイントを見つけ出し、本命の攻撃を無力化するのは至難の業。

 だが、やらなければ負ける。

「クハハハハハ!!流石だな!!」

「そっちこそ、この短期間で随分腕上げたみたいじゃないか。」

 無尽蔵のスタミナを持つバフォメットが放つこの連撃をずっと受けきるとなれば……流石に俺のスタミナが負ける。

 どこかで終止符を打てるタイミングを見極めなければならない。

(…………ここだ。)

 バフォメットの放つ本命の一撃を見切り、それをすれすれで躱しながら前に出る。その流れで体勢を一気に低くし、奴の足を勢いよく払う。

「むぅっ!?」

 足払いによって体勢の崩れたバフォメットの腕を掴み、地面へと投げる。

 そして立ち上がろうとする奴の顔の前にサンダーブレスを纏った拳を突き出した。
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