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第ニ章
新技の開発
しおりを挟む自分が扱えるブレスを一つずつ試し、最後に残すは一発撃っただけで魔力がすっからかんになるブレスオブディザスターのみとなった。
「やってみるか。」
そしていざブレスオブディザスターを発動させようと試みたが、なぜかどうやっても発動する気配がない。
「あれ?なんでだ?」
いくら心の中で強く想っても、まったく発動の兆しすらない。
「何か発動にトリガーになるようなものが必要なのかな。」
発動条件はわからないから、これは今のところお蔵入りかな。
ブレスオブディザスターが近距離攻撃に転用できないのは少し残念だが、他のブレスはすべて転用できることが検証できたので良しとしようか。
「せっかくだし、これには新しい技名をつけてみるか。」
師匠曰く、武術の技に名前があるのは心の中でその名前と技を同時に意識することで、より正確に……速く技を出すことができるのだとか。
(体に纏わせる……か。そうだな、ブレスを纏わせている間は羽衣みたいなオーラが現れるから……。)
「纏い衣……この技の名前はこれに決定だ。」
安直で見た目そのままの名前だが、パッとすぐに頭に思い浮かぶのが良い。こだわって複雑な名前を付けるよりもな。
そして俺が新たな技を開発し終えたとき、ドーナたちの戦いも終わりを迎えようとしていた。
「はぁ、はぁ…ど、どんだけタフなのよ。」
「も、もう動けないよ。」
「クッフフ、なかなか良い余興であった。最初こそヒイラギの真似事かと思ったが、打ち合う度に技のキレがみるみる増しおった。今後が楽しみである。」
スタミナ切れで仰向けに寝転がった二人に賞賛の言葉を送ると、バフォメットは俺の方に歩み寄ってきた。
「なにやら我らが戦っている傍らで、面白いことをしていたようだな?」
「まぁな。」
「クク、余興は楽しんだ……。次は貴様との戦いを我は所望する。その新たな技とやらも使ってみたいだろう?」
「ったく、ドーナたち二人を相手にしたってのに、ちっとも疲れちゃいないようだな。」
「むしろ漲ってきたぐらいだ。さぁ、我と存分に打ち合おうぞヒイラギッ!!」
その大きな体を存分に使って豪快な構えを取ったバフォメット。その構えはまるで今にも襲い掛かってきそうな猛獣のよう。かなり攻撃的な構えだ。
「前は構えなんて取らなかったのに、そんなことも覚えたのか。なら……俺も前とは違ったことをやろう。」
バフォメットの攻撃的な構えに乗じて、俺も攻撃的な構えをとる。
「さっそく試させてもらおうか。新技を……。」
構えをとると同時に俺はフレイムブレスを腕に纏わせた。
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