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第ニ章

グレイスのダイエット

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 朝食を食べ終えたところで、今日の予定について話し合うことになった。

「さて、今日これからの予定だが…いまから前の街に戻ろうと思う。」

 獣人族の国に繋がるという秘密の抜け道があそこにはある。それに今獣人族の国がどんな状況なのか早く知りたいのだ。

「ワタシはそれでいいわ。」

「アタイも賛成だよ。」

「シアはお兄さんについてくっ!!」

「自分も大丈夫っす!!美味しいご飯も食べて体力満タンっす!!」

 みんな今日シュベールを出ることに賛成のようだ。それなら話が早い。

「そうか、じゃあ今から移動を開始しよう。なるべく早く着きたいからな。」

 皆に外に出てもらいハウスキットをしまう。そして馬車を取り出して、元の大きさに戻ったグレイスに装備を取り付ける。

 その時ある違和感を感じ取った。

(ん?あれ、なんか前より少しグレイス大きくなったか?)

 前に装備を着けたときはもっと締めれた筈なんだがな。そんな違和感を感じていると、ランがグレイスに近寄ってきて耳元でぽつりと言う。

「グレイス、あなた少し太った?」

「え゛っ!?」

 がーん……という効果音が聞こえそうなほど、ガックリとグレイスはうなだれた。

「じ、自分太ったすかねぇ~。な、なら前より頑張ってこれ引っ張るっす!!それできっと痩せれるはずっす!!」

 グレイスはフンッフンッ!!と鼻息を荒くしてそう言った。

 ま、まぁやる気を出すのはいいことだ。……空回りしなければいいが。

「じゃあグレイス、よろしく頼む。」

「任せてくださいっす!!今日は飛ばすっす!!」

 そう息巻いていたグレイスは、以前の倍ほどのスピードで進み始めた。このペースだと確かに早く着きそうだが途中でバテないか心配だ。

「ぐ、グレイス、あんまり無茶するなよ?」

「痩せるっす!!痩せるっす!!自分は……痩せるっすーーー!!」

 こちらの声はもう聞こえていないようだ。痩せるということで頭がいっぱいらしい。

「あはは~♪すごいすご~い!!グレイス頑張れ~!!」

 シアは凄まじいスピードで走る馬車を楽しみながらグレイスを応援する。

「うりゃあぁぁぁ!!」

 声援を受けてさらにグレイスは加速した。このペースで本当に大丈夫だろうか。

 一抹の不安を抱えながらも、馬車での移動が始まったのだった。
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