163 / 1,008
第ニ章
イクラのお味は…
しおりを挟む出来上がった朝食を持ってテーブルにいくと……。
「お魚の匂い!!朝ご飯お魚っ!?」
いつの間に起きたのか、シアがすでにいつもの場所に座り今にもよだれを垂らしそうになっていた。
「あぁ、今日の朝食はお魚だ。」
「お魚大好き~楽しみっ!!」
「たくさん食べていいからな。」
ぽんぽんとシアの頭を撫でていると、続々とドーナたちも目を覚まし始めた。
「んぁ、あれ?もうご飯の時間?」
「ん~っ!!くっはぁ~、久しぶりに結構飲んだから寝すぎちまったねぇ。」
「もうご飯っすか!?自分お腹減ったっす~。」
まだ少し重そうな瞼をこすりながら、みんな席に着く。
「よし、それじゃあ食べよう。」
「「「いただきます!!」」」
食材に感謝し、ジュエルサーモンの親子丼を食べ始める。すると、プチプチと口の中で弾ける不思議な食感にみんな驚いていた。
「このプチプチ美味しい!!」
「新しい食感だわ、こんなの初めて。」
新しい食感に驚いていたようだが、イクラの味は好評のようだ。みんな食べる手が止まらない。
そんなみんなの様子を一緒に少し眺めていたイリスは、満足そうに笑みを浮かべていた。
「なるほど、これが食べてもらう幸せ……。幸福感で満たされますね。」
「なかなかいい気分だろ?それが味わいたくて料理人やってるんだ。さ、イリスもそろそろ食べたほうがいい。」
「えぇ、それではいただきますね。」
促されて、イリスも海鮮丼を口へ運ぶ。そしてゆっくりと味わうと顔をほころばせた。
「ふふふ、これはとても美味しいですね。」
イリスも食べ始めたし、そろそろ俺も食べようか。
醤油を軽く上から回しかけ、刺し身とイクラとご飯を一緒に口へと運んだ。噛む度にプチプチとイクラが弾け、甘味がご飯と刺し身に絡みとても美味しい。
普通の鮭のイクラよりこちらは少し甘味が強く食感がいいようだ。
すべてが抜群に美味しく、あっという間に完食してしまった。
「ふぅ……美味しかった。」
朝から少し豪華なご飯だったな。こういうのもたまにはいいだろう。
満足して一つ大きなため息を吐き出していると、目の前にみんなが空になった丼を差し出してきた。
「お兄さん!!おかわりっ!!」
「ワタシも~。」
「アタイももらっていいかい?」
「んぐっゴクッ…プハッ!!自分も欲しいっす!!」
「わかった、ちょっと待っててな。」
そしてみんなの分のおかわりを盛り付けに行こうとすると、イリスも一緒に席を立った。
「お手伝いしますよ、ヒイラギさん。」
彼女の手には空になった自分の分の食器が持たれていた。
「ありがとう、助かるよ。」
イリスに手伝ってもらい、全員分のおかわりを盛り付け、豪華な朝食は続くのだった。
102
お気に入りに追加
634
あなたにおすすめの小説
転生したら神だった。どうすんの?
埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの?
人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。
拝啓、お父様お母様 勇者パーティをクビになりました。
ちくわ feat. 亜鳳
ファンタジー
弱い、使えないと勇者パーティをクビになった
16歳の少年【カン】
しかし彼は転生者であり、勇者パーティに配属される前は【無冠の帝王】とまで謳われた最強の武・剣道者だ
これで魔導まで極めているのだが
王国より勇者の尊厳とレベルが上がるまではその実力を隠せと言われ
渋々それに付き合っていた…
だが、勘違いした勇者にパーティを追い出されてしまう
この物語はそんな最強の少年【カン】が「もう知るか!王命何かくそ食らえ!!」と実力解放して好き勝手に過ごすだけのストーリーである
※タイトルは思い付かなかったので適当です
※5話【ギルド長との対談】を持って前書きを廃止致しました
以降はあとがきに変更になります
※現在執筆に集中させて頂くべく
必要最低限の感想しか返信できません、ご理解のほどよろしくお願いいたします
※現在書き溜め中、もうしばらくお待ちください
異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた
甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。
降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。
森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。
その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。
協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。
人間だった竜人の番は、生まれ変わってエルフになったので、大好きなお父さんと暮らします
吉野屋
ファンタジー
竜人国の皇太子の番として預言者に予言され妃になるため城に入った人間のシロアナだが、皇太子は人間の番と言う事実が受け入れられず、超塩対応だった。シロアナはそれならば人間の国へ帰りたいと思っていたが、イラつく皇太子の不手際のせいであっさり死んでしまった(人は竜人に比べてとても脆い存在)。
魂に傷を負った娘は、エルフの娘に生まれ変わる。
次の身体の父親はエルフの最高位の大魔術師を退き、妻が命と引き換えに生んだ娘と森で暮らす事を選んだ男だった。
【完結したお話を現在改稿中です。改稿しだい順次お話しをUPして行きます】
憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~
樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。
無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。
そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。
そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。
色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。
※この作品はカクヨム様でも掲載しています。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
異世界は流されるままに
椎井瑛弥
ファンタジー
貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。
日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。
しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。
これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる