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第ニ章

襲撃者

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 コーヒーを飲みながらゆっくりしていると、背筋に嫌な気配がねっとりと張り付くのを感じた。

「……二人?…いや、三人だな。」

 気配は隠しているようだが、異様なまでの殺気は隠せていない。

「まったく、気分良くこれから寝ようって時に……。」

 寝ているみんなを起こさないように、足音を消してハウスキットの外に出た。辺りは暗く、とても静かだが、異様な気配が漂っている。

 周りを見渡してみるが、人影は見えない。しかし、体に突き刺さってくる殺気は健在だ。確実にいる。

「こんな時間になんの用だ?」

 隠れていることを承知で、俺はそう問いかけた。しかし、もちろん返事はない。

「出てこないつもりか?」

 おもむろに足元に落ちていた石を拾うと、殺気を強く感じる方に狙いをつける。

「ふんっ!!」

 軽く勢いをつけて石を投げつけると、静かな空間に鈍い音が響いた。

「ぐあっ!!」

「かくれんぼはお終いだ。とっとと出てこい。」

 すると、闇夜に紛れる黒い衣服を身にまとった男三人が姿を現した。

「ッチ、奇襲は失敗か。随分勘がいいじゃねぇの?」

「いっつつ、野郎ぜってぇ殺してやる!!」

「聞いていた情報より幾分かやるようだな。」

 姿を現した男たちに俺は問いかける。

「こんな夜中に何の用だ?」

「それをお前が知る必要はない。」

「今からぶっ殺されるんだからなぁ~。」

 俺の問いかけには答えず、男たちはまた姿を闇に消した。

 だが、一度姿を見せてくれたおかげでこいつらの気配はつかめた。もう問題はない。

「話を聞くのには一人いれば十分だな。」

 そうつぶやいた直後、背後から短刀が振り下ろされる。それを屈んで躱し、背後の男の足を勢いよく払う。

「チィッ!!」

 その舌打ちが男が最後に発する言葉になった。

 足払いで体勢を崩した男の頭を手でつかむと、地面にたたきつける。

「次はそこか。」

 仲間がやられて動揺し、気配を隠しきれていない男に距離を詰めると、男の首に手刀を当てた。

「これで二人。」

 手刀を当てた男の頸動脈を螺切った。何が起こったかわからずに、首の皮が内出血による負荷で破裂する。

「最後の一人は……逃げたか。」

 一瞬で二人がやられ、身の危険を感じたのか残りの一人は逃げ出していた。

「逃がす訳ないだろ。」

 気配を辿り、逃げた男を追いかけた。
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