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第ニ章
お酒
しおりを挟むシアの活躍のお陰で、料理が冷めることなく皆に提供することができた。
「お待たせ、今日は例のトングのムニエルとジュエルサーモンのムニエル。そんでおまけに白子のカプレーゼだ。」
テーブルの上に料理を並べていくと、それを見たランがぽつりと言った。
「ヒイラギってホント綺麗に盛り付けるわよね~。」
「綺麗に盛らないと美味しそうに見えないだろ?」
料理は舌で味を感じるだけでなく、視覚で見て楽しむものでもあるのだ。
そして料理を並べ終えた後、あることを俺は問いかける。
「ランとイリスは酒は飲めるのか?」
「お酒ってなに?」
「私は耳にしたことはありますが、飲んだことはありません。」
二人とも飲酒経験はなしか……じゃあ今回はやめておいた方がよさそうだな。
「この料理は酒と合わせて食べると美味しいんだが、飲んだ事が無いならやめておこう。」
「えっ!?もっと美味しくなるの!!なら飲むわよ!!」
「つまりはお菓子と紅茶みたいなものですよね?それならぜひとも頂きたいです。」
「ん~わかった。そのかわり気分が悪くなったりしたらすぐに言うんだぞ。」
二人とそれだけ約束すると、俺はドーナに質問を投げかける。
「ドーナはワイン……いや、葡萄酒でいいか?」
「あぁ、大丈夫だよ。」
ドーナとはこの世界に来てから一度酒を飲み交わしたことがある。彼女は飲み慣れているようだから心配は無用だろう。
そしてハウスキットの中にあるワインセラーへと向かい、今回の食事に合うワインを厳選する。
「今回の料理には少し甘めのワインがいいな。……これにしよう。二人はそうだな、初めてだから甘めの梅酒をソーダで割ってあげようか。」
ドーナのワインをグラスに注ぎ、ランとイリス用の梅酒をソーダで割る。シアとグレイスはオレンジジュースだ。
もちろん子供にお酒は飲ませられない。……グレイスが子供かどうかは知らんが。
「さて……自分のやつはこのウイスキーにしようか。」
棚の奥にしまわれていた年代物のウイスキー。誰も手を付けることのできない値段のついた超高級品だ。
ロックグラスに氷を入れてウイスキーを注ぐ。ふわりと香ってくるのは芳醇な香りだ。飲むのが楽しみで仕方がない。
「これがランとイリスの分。で、これがドーナの葡萄酒。シアとグレイスはオレンジジュースな。」
皆の前に飲み物を置きようやく準備が完了した。
「よし、それじゃあ食べようか。」
「「「いただきます!!」」」
恒例の挨拶を終えて、皆で食べ始めた。
さてさて、以前食べたムニエルと食べ比べてみて、どんな反応をしてくれるかな。みんなの反応を窺いながら食べ始めるのだった。
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