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第ニ章

白金級冒険者セドルの本性

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 ため息を吐きながら、前を歩くミノンとセドルに続いて歩いているとあっという間に闘技場に着いた。

 ここで俺はある違和感を感じ取った。

「人払いは済んだって聞いていたんだが?」

 聞いていた話とは違い、観客席にはほぼ満員近くの人が座って待機していたのだ。

「闘技場の中の人払いはしてあるでしょ?」

 観客席は関係ないって感じか、人に見られながら戦うのはあまり好きじゃないんだが。

「すまないな、戦いを見たいって冒険者が沢山いてな。」

 セドルは少し嫌味を含めた言い方で「」というフレーズを強調して言った。

 そんなセドルに少しイラッとしたらしく、ランが目を細めながら口を開いた。

「へぇ、あなた人気者なのね?」

「当たり前だろ?なんたって俺は白金級冒険者だからな!!君達のパーティーの銀級のヒイラギ君とは違ってね。」

 やたらと銀級なことをイジってくるな。人を見下すタイプだなコイツ。

 そんなことを思っていると、ランとドーナに手招きされた。二人の近くに行くと、二人は静かに俺に耳打ちし始めた。

「ヒイラギ、わかってるわよね?」

「ん?な、なにがだ?」

「あの変に気取ってる野郎のことだよ。」

 二人からなにやらドス黒いオーラが溢れ出ている。どうやら俺が見下されていることに怒り心頭のようだ。

「まぁまぁ、そんなに怒っても無駄な労力だぞ?」

 二人を少しなだめてから、セドルと二人で闘技場の入り口に立った。
 すると、セドルが俺に向かって小さい声で言った。

「せいぜい足掻いて俺の引き立て役になってくれよ?。」

「ん。」

 盛大に煽ってきたセドルにそれだけ言い返し、闘技場の真ん中へ進む。
 先に中央に着き、出てくるセドルを待った。数拍の後でセドルが出てくると、観客席が沸き上がる。

「キャーッ!!セドル様~!!」

 悠々と声援に囲まれながらセドルはゆっくりと中央へ向かってきた。
 何も声がかからなかった俺とは大違いだな。まぁ、無名の銀級冒険者だから仕方ないが。

 そしてお互いに中央で向き合った。セドルの表情には薄ら笑いが張り付いている。

 どうやらこの試合はミノンが審判を勤めるようだ。

「これより白金級冒険者セドル対銀級冒険者ヒイラギの模擬戦を始めます。決着はどちらかが敗北を認める、もしくはどちらかが気絶した時を決着とします。」

 敗北宣言か気絶ね。武器を扱わない俺には好都合だ。

「それでは、両者武器を構えて。」

 ミノンの掛け声で、セドルは両手持ちの西洋刀を……俺は普段と何ら変わらない構えを取った。
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