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第ニ章
先を見据えて
しおりを挟む忙しかった朝食も終わりを迎え、みんな膨らんだお腹をさすりながら満足そうにソファーに腰掛けている。
彼女たちに俺はイリスと話し合って決めた、次の目的地について話すことにした。
「そのまま聞いてほしいんだが、実は次に向かう場所が決まったんだ。」
「ほぇ?もうこの街を出るの?」
「あぁ。」
「ちなみにその次に向かう場所ってのはどこだい?」
「獣人族の国だ。」
俺の言葉にシアが敏感に反応した。
「お兄さん、あそこに何しに行くの?シアのこと……もしかして。」
ネガティブな考えが浮かんでしまっている様子のシアの頭を撫でる。
「シアが思ってることはしないよ。ただ、シアのいた国で何か嫌なことが起きてそうでな。それに獣人の国の王にシアのことで一言思い切り言ってやりたいんだ。」
「シアのこと?」
「あぁ、シアのような子供を迫害する文化は間違ってるってな。」
そう宥めるように語りかけると、シアは俺の腰にぎゅっと抱き着いてくる。
「ありがとう、お兄さん。」
ポロポロと涙を流し始めてしまったシア。彼女が泣き止むまでずっと優しく頭を撫でていると、数分した後、目の周りを赤くしながらシアは顔を上げた。
「大丈夫か?」
「うん!!」
にこりと笑って一つ強くうなずいたシアの頭を撫でていると、ドーナがあることを問いかけてきた。
「獣人族の国に行くってことはわかったけど、そもそもどうやって行くんだい?国境にはデカい壁があるし、なによりアタイ達は人間だ。獣人族たちが人間を国の中に入れてくれるとは思えないよ。」
「それには一つ考えがある。」
俺はシアの肩に両手を置いて目線を合わせながら、シアに一つ質問を投げかけた。
「シアはどうやってあの森の中に来たんだ?」
「えっと、シアがいた村にあった秘密の抜け道を通ってきたよ。」
「それはどこに?」
「お兄さんと会った森の中にあるの!!」
なるほど、ならその抜け道を戻っていけば……獣人族の国の中には入れそうだな。
「あとでその場所を詳しく案内してくれるか?」
「うん、まかせて!!」
「ありがとう。」
ぽんぽんとシアの頭を撫でている最中、俺はふとあるものを手に入れていたことを思い出した。
「あ、そういえばシアに渡したいものがあるんだった。」
俺はマジックバッグの中に手を入れ、あるものを取り出した。
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