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第ニ章
目覚め
しおりを挟む「ん、ぐっ……。」
再び目を覚ますと、今度は見慣れた天井が視界に入る。ハウスキットの中で間違いなさそうだ。
それにしても全身が痛い、起き上がるのも辛いほどに……。
ビキビキと痛みの走る体を無理矢理起こすと、俺の膝の上に頭を乗せてシアが眠っていたことに気が付く。
「ふにゅう、お兄……さん。」
シアだけじゃない、ドーナもランも……果てにはグレイスまで俺を囲むようにして眠っていた。みんなの背中に毛布をかけると、俺はコーヒーメーカーで熱いコーヒーを淹れる。
「…………心配かけちゃったな。」
安らかに寝息を立てているみんなのことを見つめ、ポツリとそうこぼすと、神華樹からイリスが現れた。
「もう身体は大丈夫なのですか?」
「イリスか……少し痛むが大丈夫だ。それよりみんなは……。」
「この二日間、彼女たちは寝ずにあなたの看病をしていましたから、疲れてしまったんでしょう。」
「二日……そんなに経ったのか。」
「もし皆さんが目を覚ましたら、元気なお顔を見せてあげてくださいね?今のお顔じゃダメです、わかりましたか?」
もぎゅもぎゅと顔をイリスに揉まれる。
「わかったわかった。」
「ふふっ、約束ですよ?」
満足そうに微笑むと、イリスは俺の前に座った。そして俺と同じようにコーヒーを飲み始める。そんな彼女に、俺はある質問を投げかけた。
「イリス、一つ質問があるんだがいいか?」
「はい、なんでしょう?」
「俺以外に誰かをこの世界に転生させてたりとか……しないか?」
俺の質問にイリスはふるふると首を横に振った。
「いいえ、残念ながら……私がこの世界に招いたのはヒイラギさん、あなただけ。」
「……そうか。」
「何か気になることでもありましたか?」
「夢で恩人に会ったんだ。2年前に亡くなったはずの恩人に……。」
「その御方は何かヒイラギさんに伝えたかったことがあったのかも……しれませんね。強い未練や念は時に関わりの深い人の心に現れることがありますから。」
「そのようだった。まさか夢で説教されるとは思わなかったよ。」
思わず苦笑いすると、イリスもクスッと笑った。
「ふふ、でもそのおかげで何かヒイラギさんの中で変わったのではないですか?」
「あぁ。」
師匠の言葉を思い出しながら、俺は一つ大きく頷いた。
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