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第ニ章
嫌な予感は突然に
しおりを挟むイリスの突然の来訪という出来事があったが、それもひとまず落ち着きみんなで談笑を楽しんでいた。その最中、俺はふと外の景色が気になり目を向けた。
「あれ?さっきまで晴れてたんだけどな。」
今朝起きたときは確かに晴れていたんだが……現在の天気はあいにくの雨。それも徐々に強まり始めている。
「確かにさっきまで晴れてたんだけどねぇ。」
「そうだよな。」
窓に近づいて空模様を眺めてみると、随分とおかしな空模様だった。
「なんで雨雲が無いのに雨が降ってるんだ?」
土砂降りだというのに、空は青く澄みわたっていた。まさに雲ひとつない晴天……こんなに空が晴れ渡っているというのに雨が降るわけがない。
「何かおかしい。」
そう思っていた次の瞬間…… 湖の方から凄まじい爆発音が聞こえた。それとともに大量の水の粒が空から降り注いだ。
「何かが起こってる。みんなはここで待っててくれ、少し様子を見てくる。」
「あっ!!ちょっとヒイラギ!!」
ハウスキットを飛び出して湖の方へと駆け出した。全力で走って爆発音のした方に向かうと、そこでは冒険者達が見覚えのある1匹の魔物と戦っていた。
「この魚は渡さないですぅぅぅーーーっ!!」
ウォータードラゴン……お前か。
彼女は水のブレスを冒険者達に向かって吐きつけ、冒険者達が狩ったであろうソードフィッシュを片っ端から湖に引きずり込んでいた。
そして、再び満身創痍の冒険者達へ無慈悲な水のブレスが再び放たれようとしていた。
「それはちょっとやりすぎだ。」
縮地を使い一気にウォータードラゴンとの距離を詰める。すこし足に力を込めて跳んだせいで、自分でも驚くほどの速度で彼女の目の前へとたどり着いてしまった。
「おっとっと!!通り過ぎるところだった。」
「っ!!だ、誰ですかぁ!!」
「ちょっとこの中に入っとけ!!」
「えっ!?ちょ……。」
無理矢理ウォータードラゴンをマジックバッグに引きずり込み、即座にその場から離脱する。
それからすこし時は流れて、ハウスキットの場所まで何とか帰還することができた。
「あっ!!ヒイラギもう戻ってきたの?」
「あぁ、原因の魔物を連れてきたよ。」
先ほどバッグに引きずり込んだウォータードラゴンをハウスキットの前で開放する。
「あれっ!?ここどこですかぁ?」
「はぁ、やっぱりあなただったのね……。」
「あっ!!サファイアドラゴン…っていうことはぁ~、やっぱり人間さんも一緒ですねぇ。」
「危うく人を殺すところだったからな。強引にここまで連れてこさせてもらった。」
「あれはあの人間達が悪いんですよぉ~、私の食べ物を根こそぎとろうとしてくるんですもん。」
やっぱりそういうことだったか、嫌な予感というものは当たるものだな。兎にも角にも一度怒りの矛を収めてもらおうか。
話はそれからだ。
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