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第ニ章
眠ったシアも食いしん坊
しおりを挟むいろんなことが起きた今日という1日も、いつの間にやら残す行動は寝るのみとなった。そこで俺はあることを思い出すことになる。
「しまった、また布団を買ってくるのを忘れてた。」
相変わらず一つの布団しかない現状に頭を抱えていると、ランが首を傾げた。
「あら、まだそんな気があったの?てっきり、もうそんな気はないものと思ってたわ。」
「いや、さすがにそれは……な?」
たじろいでいた俺の腕をランは引っ張ると、強引に布団の上へと寝っ転がされた。するとすかさずランとドーナの二人が横に引っ付いてくる。
「寝床が一つならみんなでくっつかないとねっ♪」
「ま、まぁひ、一つしかないなら仕方ないよねぇ……。」
両側をがっしりとホールドされると、胸の上にシアが飛び込んでくる。
「シアはこのままがいいっ!!」
「……そうか。」
シアの頭を撫でていると、グレイスが毛布を引っ張ってみんなの体の上にかけてくれた。
「グレイスありがと~!!おいで~。」
グレイスのことを抱きかかえると、シアはすりすりと俺の胸に顔を擦り付けてくる。それからすこしすると、シアとグレイスの二人はいつの間にやら寝息を立てていた。
「寝ちゃったか。」
「ふぁぁ……ワタシも眠くなってきちゃったわ。」
「アタイも今日はちょっと疲れたみたいだよ。」
「ん、それじゃあ俺たちも寝よう。明日も予定はあるからな。それじゃあみんなお休み。」
そして目をつぶると、俺も知らず知らずのうちに疲れていたらしく、すぐにまどろみの中へと誘われてしまうのだった。
…………かぷっ!
「っ!?!?」
突如として襲い掛かってきた、耳への生暖かい刺激で俺はハッと目が覚めた。
「なに……が?」
状況把握に努めようとすると、また……。
ペロッ……ぞりゅっ、ぞりゅ。
「うぁっ……。」
今度は少しざらついた何かが、耳をはい回ったかと思えば耳の中へと入りこんできたのだ。
その異常が起きている耳のほうへと視線を動かしてみると……そこには眠りながら、俺の耳をぱっくりと口にほおばっているシアの姿が見えてしまった。
「ね、眠りながら俺の耳を食べちゃってるのか。」
眠っていても食いしん坊だなシアは……。
ぞりっ…ぞりっ。
「そ、それにしてもこれはっ。」
シアは猫の獣人みたいだから、舌が少しざらついていてなかなか耳への刺激が強い。
「寝られないぞこんな状態じゃ……。」
外を見るとまだ夜は明けていない。まだ朝日が昇っている傾向も見えないし、夜はまだまだ長そうだ。
そして結局翌朝シアが起きるまで、俺は耳を食べられ続けることになったのだった。
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