上 下
106 / 1,008
第ニ章

夕食の準備②

しおりを挟む

 こちらが計り終えると同時に、ドーナとランの方もどうやら野菜も切り終わったらしい。

「ちゃんと切れてると思うけどねぇ。」

 二人の切った野菜を確認すると、大きさも揃っていて、上手に切れていた。

「あぁ、キレイに切れてるぞ。やるじゃないか二人とも。」

「えっへん♪当然よ!!」

「あ、あぁ。」

 堂々と胸を張るランの隣で、ドーナは少し恥ずかしそうに頬を赤らめた。
 そんな彼女をランがイジり始める。

「あらあら~、ガラにもなく照れちゃって~。もしかしてそういうトコでヒイラギを誘ってるの?」

「ちっ、違う!!そういうのじゃ……。」

 更に顔を真赤にして必死に弁解しようとするドーナ。

 なんというか、普段しっかりしてるだけあって、こういう必死に恥ずかしさを隠しているところは、なかなか……。これが世にいうギャップ萌えというやつなのだろうか?

 兎にも角にも、そろそろドーナイジりを止めてあげるか。

「ラン、その辺でそろそろ。」

「ウフフッ、ついつい可愛くって♪」

「う~……後で覚えてるんだよラン。」

「もう忘れたわ♪」

「なぁっ!?こ、この……。」

 すっかりランの良いようにやられているドーナ。

 しっかし、あれだけ最初はお互いに啀み合ってたってのに……今ではこれか。
 案外二人の相性は良いのかもしれないな。

 遠目で二人を眺めつつ、俺はシアに言った。

「さ、シア後は俺がやっておくから、二人を連れてあっちで待っててくれるかな?」

「うん!!」

 すると、シアは二人の元へと小走りで近付いて、二人の腕を掴むとズルズルと向こうへと引きずっていった。

「さて、とっとと仕上げるか。」

 二人が切ってくれた野菜を高温の油を馴染ませたフライパンで炒める。そして色艶が出たらさきほどシアと計った調味料を入れて軽く沸騰させる。

 最後に水溶き片栗粉でしっかりと、とろみをつけてあげれば……あんかけの完成だ。

「あとは揚がったソードフィッシュの切り身を盛り付けて……上からたっぷりとあんかけをかけてやればっと。」

 特製ソードフィッシュの甘酢あんかけの完成だ。

「今日はみんな疲れただろうからな。大盛りで盛り付けよう。」

 炊きあがったご飯を丼に山に盛る。ドーナとシアの分はまぁ普通の大盛りご飯レベルだが、ランとグレイスの分はまた規模が違う。
 これを全部食べきれるっていうのだから驚きだ。流石はドラゴンとワイバーン。

 そして出来上がったソードフィッシュの甘酢あんかけと大盛りのご飯をお盆に乗せて、みんなの待つテーブルへと向かうのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの? 人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた

甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。 降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。 森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。 その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。 協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。

人間だった竜人の番は、生まれ変わってエルフになったので、大好きなお父さんと暮らします

吉野屋
ファンタジー
 竜人国の皇太子の番として預言者に予言され妃になるため城に入った人間のシロアナだが、皇太子は人間の番と言う事実が受け入れられず、超塩対応だった。シロアナはそれならば人間の国へ帰りたいと思っていたが、イラつく皇太子の不手際のせいであっさり死んでしまった(人は竜人に比べてとても脆い存在)。  魂に傷を負った娘は、エルフの娘に生まれ変わる。  次の身体の父親はエルフの最高位の大魔術師を退き、妻が命と引き換えに生んだ娘と森で暮らす事を選んだ男だった。 【完結したお話を現在改稿中です。改稿しだい順次お話しをUPして行きます】  

憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~

樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。 無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。 そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。 そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。 色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。 ※この作品はカクヨム様でも掲載しています。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

アラヒフおばさんのゆるゆる異世界生活

ゼウママ
ファンタジー
50歳目前、突然異世界生活が始まる事に。原因は良く聞く神様のミス。私の身にこんな事が起こるなんて…。 「ごめんなさい!もう戻る事も出来ないから、この世界で楽しく過ごして下さい。」と、言われたのでゆっくり生活をする事にした。 現役看護婦の私のゆっくりとしたどたばた異世界生活が始まった。 ゆっくり更新です。はじめての投稿です。 誤字、脱字等有りましたらご指摘下さい。

異世界は流されるままに

椎井瑛弥
ファンタジー
 貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。  日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。  しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。  これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

処理中です...