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第ニ章
市場の異変
しおりを挟む街の中を歩いていると、やはり一番目につくのはこの水路だ。
「この水路は湖から引いているのかな?」
「そうだよ、近くにある大きな湖から引いてきてるのさ。」
湖からか……。馬車で来たときは見えなかったが、奥の方にあるのかな?
「お兄さん、湖ってどんなところ?」
「とても大きい水溜まりだ。」
「ふわあぁ~、面白そう!!」
シアだけでなく、俺も楽しみで仕方がない。どんな生き物が湖にいるんだろうか?興味が尽きない。
「そろそろ大きな市場が見えてくるよ。」
「市場か……水の街ってぐらいだからきっと魚がたくさん並んでそうだな。」
「どんな魚がいるのかしらね?美味しそうなのがいるといいんだけど。」
「そうだな、良いのがあったら買ってみようか。」
「ホント!?お兄さん!!」
「あぁ。」
わーいとシアが喜び、グレイスをおもいっきりギューって抱き締めている。
「きゅぅっ……。」
……あっ、グレイスが落ちてる。
目が若干白目になりグロッキーになっているグレイス。やはりシアの魔改造された力で抱きしめられると、ワイバーンでもキツイらしい。
「おぉ、着いたな。」
市場に着くと魚の匂いがしてきた。この匂いを嗅ぐと市場に来たって感じがするな。
「おさかなの匂い!!」
シアは早くもよだれを垂らしそうである。しかし、ここである異変に俺は気付いた。
「なんかまだ朝なのに閉まってる店が多いな。」
まだ陽は半分も昇っていない。普通ならばまだ魚が残っていて営業している店の方が多いはずだ。
しかし今の状況を見た限り、閉店している店の方が多いような……。
あそこの店の人に聞いてみるか。
唯一店を開いていた魚屋へと赴くと、その店の店員に話しかけた。
「すみません、今日はあんまり魚とか入ってないんですか?」
「あぁ、最近湖で魔物が増殖しててな……漁に入れないんだ。」
よし決めた、その魔物倒す。せっかくここまできて、湖の魚が食べられないなんて笑えないからな。
「なるほど、そうだったんですね。ちなみに、どんな魔物かってわかります?」
「あぁ、鋭い牙を持った魚でな。網にかかった魚を群れで根こそぎ食いつくしちまうんだ。」
ふむ、あれか?ピラニアみたいな感じなのかな?それなら魚を餌に釣りしてればかかりそうだが……。
その魔物をどう倒そうか考えていると、ランが店員へと問いかける。
「ねぇねぇ、その魔物って美味しいのかしら?」
「え?あ、あぁ一応高級食材らしいが、何せ数が多いから相手にするのは大変だぞ?今、ギルドが金級冒険者かき集めてるところなんだ。」
「だそうよ?」
「うん、ひとまず一回様子を見に湖に行ってみるか。」
「あ、あんた達正気か!?今の湖に近づくなんて自殺行為だぞ!?」
「危なかったら逃げるんで、大丈夫です。」
まぁ絶対逃げないけどな!!意地でも湖の平和を取り戻してやる。
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