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第ニ章
ソードフィッシュと野菜の天丼
しおりを挟むシャドウタイガーを倒しハウスキットの中へと戻ると、ドーナがミルタさんと話をしていた。そしてこちらを向くとにこりと笑う。
「ほらね?心配いらなかっただろ?」
「あのシャドウタイガーをあぁも簡単に……。」
「簡単ではなかったですよ。下手をしたらこちらがやられていました。」
もし、暗闇での戦闘に慣れていなかったら普通に殺られていたと思う。こればかりは過去の経験が役立った。
すると、先ほどまでランの膝枕で寝ていたシアがゆっくりとこちらに歩み寄ってきた。
「ふぁぁ、お兄さんおかえりなさい。」
「ん?シア起きてたのか。」
「うん~、さっきのおっきな音で起きちゃった。」
「ごめんな。騒がしくしちゃって。」
「んーんいいの、だってそろそろご飯の時間でしょ?」
うん、そうだなそろそろ飯の時間だ。だがその前に……。
「シア、腕輪着けておいてくれ。」
と、小声でシアだけに聞こえる声で言った。すると、シアはコクっとうなずきポケットから腕輪を出して着けた。
「いい子だ。」
頭を撫でてあげた。
「ふみゅ~♪」
「さて、ミルタさん。今から俺たちは食事にしますが。よければ一緒にいかがです?」
俺はシアの頭を撫でながら彼に問いかけた。
「いいのですか?」
「いいも何も食べるものもないんですよね?ここには、まぁそれなりにありますのでよかったらどうぞ。」
「そ、それではお言葉に甘えさせて頂きます。」
「それじゃあ、そこのテーブルに座って待っていてください。みんなも今日は俺一人で作るから休んでていいぞ?」
「わかったわ~。」
俺の意図を察してくれたらしく、みんな素直に従ってくれた。
そして一人で厨房へと向かうと、さっそく調理を始めた。
「さて、それじゃあ始めよう。」
今日の夕食のメニューはソードフィッシュの天丼だ。付け合わせに使う野菜は、冷蔵庫にあったナス、カボチャ、マイタケ、大葉でいいな。
まずは野菜から仕込もう。
ナスは1/4カットにして切れ込みを入れていく。カボチャも1/4カットにしてスライス。マイタケは適度な大きさに裂く。大葉は使う直前まで冷たい水に浸けておく。
これで野菜の仕込みはお終いだ。
お次はソードフィッシュを捌いていこう。水洗いをして、三枚におろした後適度な大きさにカットして塩をふる。
塩が馴染んでいる間に米をといで炊飯器にセット。
「よし、次は丼つゆ。」
鍋にめんつゆをいれ4倍の水で薄める。そして味醂、砂糖、濃口醤油を入れて沸騰させ少し煮詰める。
「あとはこれは冷ましておくだけだな。」
丼つゆを氷に当てて冷ましておく。
「次は天ぷらの衣を作らないと。」
今回使うのは天ぷら粉だ。もちろん小麦粉でやったっていい、ただあれはいろいろと技術が必要なのだ。
水の温度や、粉を水に溶かしたときに混ぜる回数などで仕上がりががらりと変わる。
その点てんぷら粉として出来上がっているものは、水の量と粉の量を毎回同じにしていれば、ほとんど仕上がりに変わりがない。安定していると言ったほうがいいかな。
今回は記載されている水の量より少し少なめに水をいれる。こうすると衣が少し厚くなり、丼つゆが絡みやすくなるのだ。
「あとは食材に打ち粉をして、揚げるだけ。」
野菜とソードフィッシュの切り身に打ち粉をして、温めた油で揚げる。
「よし、揚げていこう。」
ナスはなるべく衣を絡めて揚げる。皮の面が剥がれやすいからな。マイタケは絡めたら油に入れて、少し左右にふってあげると余計な衣が落ちキレイに揚がる。
カボチャはナス同様なるべく絡めて揚げる。火が通ったか分かりにくい場合は、串を刺してみるとわかりやすい。大葉は裏面だけに衣をつけてさっと揚げる。
最後に魚だ。先に揚げると油に魚の匂いが移ってしまうから魚等は最後に揚げるのだ。
これは箸で持ってみて、中から振動が伝わってきたら揚げ上がりだ。
「よし、盛り付けるぞ。」
どんぶりにご飯を盛って天ぷらを盛っていく。そして最後に丼つゆを上からたっぷりかけて……。
「よし、完成だ。」
出来立てのソードフィッシュと野菜の天丼をもって、みんなが待っているテーブルへと向かうのだった。
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