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第ニ章
腹ペコ少女シア……再び!?
しおりを挟むいつもの食前の挨拶をみんなで終えて、一斉に食べ始めた。すると、真っ先にがっついたグレイスが、目を輝かせながら早速言葉を口にした。
「生とは比べ物にならない位美味しいっす~!!」
「当たり前だろ?しっかり調理したんだから。」
ドーナとランも美味しそうに頬張ってるし、みんな美味しく食べてくれている。
さて、俺も食べようかな。……と思ったとき、不意にちょんちょんっと横から脇腹をつつかれた。
「ん?シアどうした?」
「お兄さん……お魚さんがすっごく美味しくて、もう食べちゃった。」
シアの料理を見てみると、もう魚とご飯が無くなっていた。まぁ、シアは魚が大好きだからな。仕方のないことだ。
「今おかわりの魚焼いてくるからなちょっと待っててな?」
「うん!!」
「あっ!!ヒイラギさん自分も食べたいっす~。」
「ワタシも!!」
「アタイももらえるかい?」
「わかった、じゃあ少し待っててくれ。」
厨房へ向かい魚を焼いていく。
みんな結構食べるからなぁ……一応少し多めに焼いておこう。
そしてせっせと串を打って魚を焼いていると……。
じ~~…………。
不意に後ろから視線を感じたので、振り返ってみると……そこにはシアがよだれを垂らしそうになりながら、既にスタンバイしていた。
「もう少しで焼けるからちょっと待っててな?」
「うん!!」
そして、皆のおかわりの魚を焼き上げテーブルへ向かった。
「ほい、お待たせ。」
「お兄さんありがとう!!いただきま~す!!」
シアは1番に焼き魚にかぶりついていた。
「もぐもぐ……えへへぇ美味しい♪」
「シアは魚が大好きね。」
「うん!!美味しいもん!!」
さて、そろそろ俺も食べるかな。
落ち着いた所で、まずは焼き魚にかぶりつく。パリッとした皮に、ふわふわの身、ちょうどいい塩味。
これにご飯が合わないわけがない。キノコがたっぷり入った炊き込みご飯を、口に頬張るとキノコの香りがふわっと広がった。
「あぁ、美味しいな……。」
そして、皆で会話を挟みながら楽しい昼食を終えた。
「「「「「ごちそうさまでした!!」」」」」
休憩も取ってお腹も膨れた。まだ夕方にはなりそうもないし、そろそろまたシュベールへと向かって進もう。
「さて、それじゃあ腹もふくれたし。グレイス、行けるか?」
「任せてくださいっす!!」
「よし、それじゃあ出発だ。」
「了解っす~。」
バッグにハウスキットをしまい、グレイスに馬車の装備を取り付ける。
「それじゃあ行くっすよ~」
そしてまたグレイスが馬車を引き始め、ガラガラと馬車がシュベールへと向かって進み始めた。
◇
それから進むこと数時間、周りの空が茜色に染まり始めた。
途中何度か行商人の馬車とすれ違い、その都度驚かれたがちゃんと説明して、面倒事になることは避けることはできた。
「グレイス、そろそろ夜営ができる所を見つけよう。陽が落ちてきた。」
「了解っす~。」
チラリと後ろを覗いてみると、シアがランの膝枕の上で眠っていた。ランが口に指をあてて、静かにって合図をしてくれている。
「ヒイラギさん、この先少し開けてる場所が見えるっす。」
「それじゃあ今日はそこを夜営地にしようか。」
「わかったっす~。」
少し進むとグレイスが言っていた通り、開けた場所に着いた。
「よし、今日はここで夜営だな。」
グレイスから馬車の装備を外し、馬車ごとバッグにしまうと、ハウスキットを展開するのだった。
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