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第一章
旅立ちの朝
しおりを挟む朝食を食べ進めているみんなに、俺はある話題を持ちかけた。
「食べながら聞いて欲しいんだが、次に行く場所をどこにするか決めたいんだ。」
「シアはどこでもいい!!お兄さんに着いていくから!!」
「ワタシもそうね、人間の国はそんなに詳しくないし。」
シアとランはこちらの動向に合わせてくれるようだ。そんな中、ドーナがおすすめの場所を紹介してくれた。
「それなら1つ隣の水の街シュベールなんかどうだい?あそこは近くに大きな湖があってねぇ、そこで取れる魚介が有名なんだよ。」
湖が近くにあるのか……面白い場所だな。それに湖に住んでいる魚介も気になる。まだ見ぬ食材の気配がプンプンするぞ。
「うん、ならそこにしよう。ちなみに馬車でどのくらいかかるんだ?」
「だいたい1日ってとこだねぇ、まぁグレイスが馬車を引っ張るならもう少し早く着くと思うよ?」
1日か、そんなに距離は無さそうだな。
「よし、それじゃあ次はそのシュベールに行こう。」
「おさかな楽しみ~♪」
「美味しい食べ物があるなら、それを更にヒイラギが美味しくしてくれるものね。賛成よ。」
「自分も大丈夫っす!!」
「そうか、それなら朝ごはんを食べ終わったら早速出発しようか。」
次に向かう場所を定め、朝ごはんを食べ進めるのだった。
シュベール……魚介の他にも何かあるのだろうか? まだまだこの世界には見たことのない食材がたくさんあるはずだ。今から楽しみで仕方がないな。
◇
神々side
「ふふっ、どうやら次に行く場所が決まったようですね。」
女神イリスは紅茶を嗜みながら下界を見ていた。自分がこの世界に転生させた彼を見るのが、最近の彼女の楽しみだった。
「それにしても、神華樹の種がまだ下界にありましたか。ヒイラギさんが育てる神華樹はどんな花が咲くんでしょうね。」
神華樹は、その育てる人によって咲く花が変わる特殊な花である。
「神華樹が育ったらそこを神木にしてもいいかもしれません。」
イリスはヒイラギが作る料理に強い興味があった。あそこまで食べている人を笑顔にする料理は、いったいどんな味がするのか。
「早く神華樹を育てて下さいね。」
神華樹が育てば、いつでもそこに降臨できる。そして、降臨できれば彼の作るあの料理を食べることができる。
「ふふっ♪楽しみですね~。」
イリスが笑みを浮かべているとそこへ、一人ある人物が現れた。
「珍しいわね。そんなに楽しそうにしてるイリス初めて見たかも。」
「あら、メルちゃん来てたんですね?」
「来てたもなにも、イリスが呼んだんじゃない。」
「そうでしたね、つい楽しくて忘れちゃってました。」
「まぁ、いいわ。それで話ってなに?」
「えぇ、どうやら今度貴女のところにヒイラギさんが行くらしいので、その報告です。」
「あの例の転生者?へぇ~、楽しみにしとくわ。」
「ふふっ♪よろしくお願いしますね?」
今日は水の女神メルを茶会に迎え、話が弾むイリスであった。
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