74 / 977
第一章
ミニグレイス
しおりを挟む気が付けば、周りが薄暗くなり始めていた。夕飯の仕込みをしなければならないな。
「さ、そろそろ中に入ろうか。」
「そうね、お腹も空いてきたわ~。」
「今日は動いたからアタイもお腹ペコペコだよ。」
「お兄さんのお料理…今日も楽しみ!!」
そしてみんな普通にハウスキットの中に入って行くが、俺はひとつあることが不安だった。
「あぁ~、グレイス入れるかな。」
グレイスが扉を通れるか……なかなかきわどいラインなのだ。
扉とグレイスを交互に眺めていると、グレイスが口を開く。
「あっ、自分小さくなれるんで大丈夫っすよ!!んん~っ!!」
いったいどういう事かと思っていると、グレイスが体に力を入れ始めた。すると、手に抱えられるサイズのぬいぐるみのようなサイズまで小さくなった。
「便利なスキルだな。」
「ワタシの人化には及ばないわね。」
「人化は上位のドラゴンしか覚えれないっすからね~。ワイバーンの自分には無理っす。」
ランが勝ち誇っていると、こちらの騒ぎに興味を惹かれたシアが駆け寄ってきた。
「ふわぁぁ~、可愛い!!」
シアが小さくなったグレイスをみて目を輝かせている。
「グレイス、良かったらシアに抱かれててくれないか?」
「お安いご用っすよ~。」
グレイスがパタパタと翼を羽ばたかせ、シアの胸付近まで飛んで行った。
「えへへ~♪ぎゅ~っ!!」
「ぐえっ!!えっ!?あれ?この子ちょっと子供の力じゃなくないっすか!?ちょ、ちょっとヒイラギさん!?」
どうやらシアは喜んでくれているようだ。グレイスが何か言っているが、聞こえない振りをしておこう。
「今日はダンジョンで狩ったエルダーシュリンプをつかってエビチリでも作ろうか。」
「エビチリ……どんな料理なのかしら?」
「エビを少し辛いソースに絡めて食べる料理だ。」
そう説明していると、シアが首をかしげている。
「お兄さん、辛いってどんな味?」
「舌が少しピリッとする味だな。」
「舌がピリッ?」
「食べればわかるよ。」
「楽しみ~♪今日もお手伝いしてもいい?」
「あぁ、もちろんだ。」
「ワタシ達もやるわよ!!今日は負けないわよドーナ!!」
「上等だよ!!」
二人も手伝ってくれるらしい。これなら今日もすぐに作れそうだ。
「自分も手伝った方がいいっすか?」
そうグレイスが聞いてきた。周りがみんな手伝うから自分もやらなければ、とか思っているのだろうか?
「いや、大丈夫だ。グレイスはシアの事を見守っててくれ。」
「そういうことならお安いご用っす!!」
「よし、それじゃあ作ろう。」
今日もみんなで一緒に厨房に入って料理を始めるのだった。
135
お気に入りに追加
631
あなたにおすすめの小説
異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた
甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。
降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。
森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。
その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。
協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
土属性を極めて辺境を開拓します~愛する嫁と超速スローライフ~
にゃーにゃ
ファンタジー
「土属性だから追放だ!」理不尽な理由で追放されるも「はいはい。おっけー」主人公は特にパーティーに恨みも、未練もなく、世界が危機的な状況、というわけでもなかったので、ササッと王都を去り、辺境の地にたどり着く。
「助けなきゃ!」そんな感じで、世界樹の少女を襲っていた四天王の一人を瞬殺。 少女にほれられて、即座に結婚する。「ここを開拓してスローライフでもしてみようか」 主人公は土属性パワーで一瞬で辺境を開拓。ついでに魔王を超える存在を土属性で作ったゴーレムの物量で圧殺。
主人公は、世界樹の少女が生成したタネを、育てたり、のんびりしながら辺境で平和にすごす。そんな主人公のもとに、ドワーフ、魚人、雪女、魔王四天王、魔王、といった亜人のなかでも一際キワモノの種族が次から次へと集まり、彼らがもたらす特産品によってドンドン村は発展し豊かに、にぎやかになっていく。
拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~
志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、ひょんなことで死亡した僕、シアンは異世界にいつの間にか転生していた。
とは言え、赤子からではなくある程度成長した肉体だったので、のんびり過ごすために自給自足の生活をしていたのだが、そんな生活の最中で、あるメイドゴーレムを拾った。
…‥‥でもね、なんだろうこのメイド、チートすぎるというか、スペックがヤヴァイ。
「これもご主人様のためなのデス」「いや、やり過ぎだからね!?」
これは、そんな大変な毎日を送る羽目になってしまった後悔の話でもある‥‥‥いやまぁ、別に良いんだけどね(諦め)
小説家になろう様でも投稿しています。感想・ご指摘も受け付けますので、どうぞお楽しみに。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる