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第一章
2階層目
しおりを挟む俺がデモンを倒すとドーナ達がこちらに駆け寄ってきた。
「お兄さん!!」
真っ先にたどり着いたのはシアだった。ランが肩からさげていたバックから、ピョーンと飛び出して胸の中へと飛び込んできた。
「窮屈な思いをさせてごめんな。」
「ううん!!全然大丈夫!!」
飛び込んできたシアの頭を撫でていると、ドーナ達もこちらへとやってきた。
「デビル相手に魔法なしで勝つかい。」
「まぁ、ただの肉の鎧だったし。それにあんまり知能は高くなかったからな、冷静に対処すれば魔法がなくても大丈夫だった。」
何事も冷静に対処すれば、活路はいくらでも見えてくるものだ。
「さてさて、下へ続く階段もそこにあるし、この階層はこれで終わりみたいだな。」
デモンと戦っている最中に、下へと続く階段があるのを見つけていた。
「あ、そういえばこれもドロップしたんだ。」
みんなにドロップしたデモンの宝玉を見せると、ドーナとランの二人が吸い付くように宝玉に魅入っていた。
「キレイね、ホントに宝石みたい。」
「デモンの宝玉なんて取り込んだら、それこそ凄まじいことになりそうだねぇ。」
「あぁ、だからこれはいったんしまっておくことにする。」
ランからバッグを受け取り宝玉をしまう。後でこいつの使い道は考えよう。少なくとも今使うべき時じゃない。
「さ、次の階層へ行こうか。」
シアと手を繋ぎみんなで次の階層へ向かった。ドーナとランが恨めしそうな目で見てきたが、シアを危険な目に会わせるわけにはいかないから。ここは我慢してもらおう。
◇
1つ階層を下ると目の前に広がっていたのは巨大な森林だった。目の前に広がっている光景を見て思わず言葉が漏れてしまう。
「何でもありだな。このダンジョンってやつは。」
「アタイもここから先は入ったことがないから、くれぐれも気を付けるんだよ?」
「あぁ、わかった。」
ドーナも来たことがない未開の地……か。さっきの階はデモンがいただけだったが、今度はそうもいかないだろう。気を引き締めていこう。
再び気持ちを引き締めていると、シアが俺の腕を抱きしめピタッとくっついてきた。
「シアもお兄さんから離れない!!」
「ちょ、ちょっとシアずるいわよ!!」
「そ、そうだよ!!」
俺の腕にぴったりとくっつくシアを見て、二人が羨み始めた。
「二人だって昨日俺にくっついてたじゃないか?」
「「それは寝てるときだけでしょ!!」」
俺が二人に突っ込みを入れると、二人同時に激しく反論をしてきた。
「じゃあ、どっちかシアを傷1つ付けずに守りきれる自信はあるか?」
反論されたままでは面白くないので、少し意地の悪い質問を投げ掛けると……。
「うっ、流石にちょっと自信ないわね。」
「護衛ってのはアタイもちょっとねぇ。」
「だろ?だから我慢してくれ。」
少し意地悪だったかな。だがまぁ、何とかわかってくれたみたいで助かった。二人がわかってくれたことに安堵しつつ、目の前に広がる森へと歩みを進めた。
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