54 / 1,052
第一章
カグロの漬け丼
しおりを挟むこちらの作業が終わったのでドーナとランの方に目を向けると、あちらでもどうやら決着がついたらしい。
「今回はアタイの勝ちだ。」
「~~~っ。つ、次は負けないんだから!!」
ふふんと勝ち誇るドーナと、悔しそうな表情を浮かべるラン。今回の競り合いはドーナが勝利を収めたようだ。
「計り終わったか?」
「あぁ、今ちょうど計り終わったところだよ。」
「二人ともありがとう、助かったよ。」
「大丈夫さ、このぐらいなら任せてほしいね。」
「えぇ、是非手伝わせて欲しいわ。ぜーったいリベンジしてやるんだから!!」
ドヤ顔を決めるドーナにランがバチバチと火花を散らしていた。
ランのリベンジのチャンスを設けてやらないといけないだろうし、またお願いしてもいいかもな。
「あぁ、また次もお願いするよ。」
さて調味液もできたから、漬けていこう。カグロの刺身を調味液の中に浸していく。
「後はご飯が炊き上がるのを待つだけだな。さぁ、それまで少し休憩だ。」
ご飯が炊き上がるのを待っている間、みんなで飲み物を飲みながら休憩することにした。飲み物はドーナとランにはコーラ、シアはオレンジジュース、俺はコーヒーだ。
「なにこれ!!すごいシュワシュワしてるわ。」
「こんな飲み物があるなんて……。」
「それはコーラっていう飲み物だ。炭酸が口のなかで弾けて、飲んでて楽しいぞ?」
二人は初めてのコーラに驚いていたが一口飲むと……カッと目を見開いた。
「これ、病みつきになりそうね。」
「暴力的なまでに美味しい飲み物だよ。」
コーラの魅力にすっかり二人は虜になったようで。ごくごくと勢いよく美味しそうに飲み始めた。
そしてつかの間をみんなでゆっくりしていると。ピーッと言うと音と共にご飯が炊けた。
「よし、それじゃあ盛り付けるぞ。」
どんぶりにご飯をよそい、その上に大葉を一枚敷く。その上に調味液に浸けておいたカグロの切り身をのせ、最後真ん中に卵黄を落として回りにゴマを振りかければ完成だ。
「よし、食べよう!!」
「ふわぁぁ!!おさかないっぱい!!」
「凄い食欲を誘う匂いね、お腹減ったわ~。」
「ヒイラギの作る料理は見た目からもう美味しそうだねぇ。」
みんなそれぞれ、自分のどんぶりを持ってテーブルへ向かった。後から味噌汁と箸を配膳していく。するとドーナとランの二人が配膳された箸を見て首をかしげていた。
「ヒイラギ、これなにかしら?」
「アタイも見たことないよ。」
「あぁ、それは箸と言ってな。俺の住んでいた所ではそれを使って料理を食べるんだ。」
「へぇ~、どうやって使うんだい?」
「ヒイラギお兄さん!!シアが教える!!」
「そうか、じゃあシアお願いできるか?」
「うん!!えーっとまずはここをこうやって……。」
シアによる箸の使い方講習が始まった。すると驚くことに、二人ともすぐに箸を使えるようになったのだ。
本当はめちゃくちゃ難しいはずなんだが……シアの教え方がよかったのかな?
「慣れるとこれ結構使いやすいわね。」
「うん、こんなちっちゃい物も掴めるよ。」
二人は小さな米粒でもひょいひょいと、簡単につかめるようになっていた。箸をまるで自分の指のように扱えている。
「二人とも使えるようになったみたいだな、シアありがとう。」
「これでみんな一緒っ!!」
「あぁ、それじゃあ改めて食べるとしよう。」
俺が手を合わせるとみんなも手を合わせた。
「「「「いただきます!!」」」」
そしてみんな揃ってカグロ漬け丼を食べ始めるのだった。
199
お気に入りに追加
635
あなたにおすすめの小説
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」

異世界転生!俺はここで生きていく
おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。
同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。
今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。
だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。
意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった!
魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。
俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。
それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ!
小説家になろうでも投稿しています。
メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。
宜しくお願いします。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

天職はドロップ率300%の盗賊、錬金術師を騙る。
朱本来未
ファンタジー
魔術師の大家であるレッドグレイヴ家に生を受けたヒイロは、15歳を迎えて受けた成人の儀で盗賊の天職を授けられた。
天職が王家からの心象が悪い盗賊になってしまったヒイロは、廃嫡されてレッドグレイヴ領からの追放されることとなった。
ヒイロは以前から魔術師以外の天職に可能性を感じていたこともあり、追放処分を抵抗することなく受け入れ、レッドグレイヴ領から出奔するのだった。

実験施設から抜け出した俺が伝説を超えるまでの革命記! 〜Light Fallen Angels〜
朝日 翔龍
ファンタジー
それはある世界の、今よりずっと未来のこと。いくつもの分岐点が存在し、それによって分岐された世界線、いわゆるパラレルワールド。これは、そ無限と存在するパラレルワールドの中のひとつの物語。
その宇宙に危機を及ぼす脅威や魔族と呼ばれる存在が、何度も世界を消滅させようと襲撃した。そのたびに、最強無血と謳われるレジェンド世代と称されたデ・ロアーの8人集が全てを解決していった。やがては脅威や魔族を封印し、これ以上は世界の危機もないだろうと誰もが信じていた。
しかし、そんな彼らの伝説の幕を閉ざす事件が起き、封印されていたはずの脅威が蘇った。瞬く間に不安が見え隠れする世界。そこは、異世界線へと繋がるゲートが一般的に存在し、異世界人を流れ込ませたり、例の脅威をも出してしまう。
そんな世界の日本で、実験体としてとある施設にいた主人公ドンボ。ある日、施設から神の力を人工的に得られる薬を盗んだ上で脱走に成功し、外の世界へと飛び出した。
そして街中に出た彼は恐怖と寂しさを覆い隠すために不良となり、その日凌ぎの生き方をしていた。
そんな日々を過ごしていたら、世界から脅威を封印したファイター企業、“デ・ロアー”に属すると自称する男、フラットの強引な手段で険しい旅をすることに。
狭い視野となんの知識もないドンボは、道中でフラットに教えられた生きる意味を活かし、この世界から再び脅威を取り除くことができるのであろうか。

元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~
冒険者ギルド酒場 チューイ
ファンタジー
魔法は奇跡の力。そんな魔法と現在医療の知識と技術を持った俺が異世界でチートする。神奈川県の大和市にある冒険者ギルド酒場の冒険者タカミの話を小説にしてみました。
俺の名前は、加山タカミ。48歳独身。現在、救命救急の医師として現役バリバリ最前線で馬車馬のごとく働いている。俺の両親は、俺が幼いころバスの転落事故で俺をかばって亡くなった。その時の無念を糧に猛勉強して医師になった。俺を育ててくれた、ばーちゃんとじーちゃんも既に亡くなってしまっている。つまり、俺は天涯孤独なわけだ。職場でも患者第一主義で同僚との付き合いは仕事以外にほとんどなかった。しかし、医師としての技量は他の医師と比較しても評価は高い。別に自分以外の人が嫌いというわけでもない。つまり、ボッチ時間が長かったのである意味コミ障気味になっている。今日も相変わらず忙しい日常を過ごしている。
そんなある日、俺は一人の少女を庇って事故にあう。そして、気が付いてみれば・・・
「俺、死んでるじゃん・・・」
目の前に現れたのは結構”チャラ”そうな自称 創造神。彼とのやり取りで俺は異世界に転生する事になった。
新たな家族と仲間と出会い、翻弄しながら異世界での生活を始める。しかし、医療水準の低い異世界。俺の新たな運命が始まった。
元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる